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「クボの鮮烈ボレーに加えて…」“ハイライトだけではもったいない”ソシエダ久保建英の飛躍を現地撮影「特筆すべきはゴール直前の守備」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/02/16 06:00
エスパニョール戦で2戦連続のMOMに輝いた久保建英。主力不在を感じさせないほど久保のプレーはキレを増している
ソシエダの試合前アップメニューの中には、前線の選手がサイドからのクロスに対しワントラップからシュートを打つものが組み込まれているが、まさに前述した久保の得点シーンをイメージするようなものだった。
この日の久保は、かなり際どいコースに何本ものシュートを打ち込むシーンが多かった。この時点で、ゴールへの期待を高まらせていた。
キックオフ直前には、トルコ、シリアでの地震被害に対しての連帯を示す、両チームミックスでの集合写真、黙祷する姿が見られた。
ゴール後、久保がベンチに向かった理由は…
試合は立ち上がりから、ソシエダが勝ちにいくという強い姿勢を示した。その中では復調を窺わせるようなオヤルザバルの強力なミドルシュートや、ブライス・メンデスの中盤での落ち着いたプレーが見られた。またバレネチェアは不慣れな右サイドバックでの出場ながらも縦関係の久保との好連係は、相手左サイドをうまく欺き、効果的に機能した。
特に右サイドに大きく張った久保が、徐々に相手左SBオリバンを引き連れ中にポジションを移し、その空いたスペースをバレネチェアが上手く利用するプレーは再現性が高く何度も見られた。
そして前述した23分。逆サイドで、オヤルザバルとイジャラメンディがコンビネーションを見せ、サイドを突破すると、イジャラメンディのクロスにセルロートが飛び込んだ。
ボールは相手との競り合いで大きく弾き返されたが、久保が冷静にそのボールを回収すると、ゴラッソをねじ込んだ。
冷静にボールの行方を追った久保は、コーナースポットを目指し、華麗に滑り込み先制点を祝った。仲間と喜びを分かち合うと、ベンチに向かい怪我から復帰のトゥリエンテスの元に向かったのも印象的だった。
猛烈なプレス、オウンゴール時には“誰の得点?”
この得点の直前、エスパニョールのCKの場面で、クリアされたボールは最終ラインに残るエスパニョールDFが回収し、本来ならそこから波状攻撃に繋げたいところだったが、久保の猛烈なプレスにより、守備者は、サイドへクリアするしかなかった。
ここで相手攻撃のターンをストップさせたことにより、自身の得点へとつながっている。
この久保の献身的なプレーは特筆すべきシーンだった。それ以外にも、イーブンもしくは相手に分のあるボールを奪い切る、守備面でのプレーも光った。