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「クボの鮮烈ボレーに加えて…」“ハイライトだけではもったいない”ソシエダ久保建英の飛躍を現地撮影「特筆すべきはゴール直前の守備」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/02/16 06:00
エスパニョール戦で2戦連続のMOMに輝いた久保建英。主力不在を感じさせないほど久保のプレーはキレを増している
後半もソシエダのペースで試合は運んだ。
51分には、イジャラメンディのパスに走り込んだオヤルザバルのクロスをセルロートが冷静に決めて点差を広げる。さらに63分、久保が相手ディフェンス2人の間を割るように鋭いクロスを蹴り込むと、相手CBカブレラが処理を誤りオウンゴールで3点差となって、この時点で勝負は決まったかのように思われた。オウンゴールではあったが、久保を中心にゴールを祝い、審判に誰のゴールかを確認するかのような久保の姿も見られた。
ただ試合後、勝利にも関わらず「このようなことがあってはならない」とイマノル監督が怒りを露わにしたように、ここから試合はエスパニョールの猛攻により、2点を奪われる白熱の展開となった。それでもなんとかソシエダが逃げ切った。
勝利のホイッスルに、久保は固く拳を握った
ホイッスルが鳴ると、久保は固く拳を握り勝利の喜びを噛みしめた。そして、試合を通してマッチアップしたマジョルカ時代の同僚オリバンと健闘を讃えあった。
2得点に関与した久保は、フル出場しMOMにも選出される誰もが納得の活躍ではあったが、喜び直後のフラッシュインタビューで本人も語ったように、最終盤、体力的にかなり苦しい場面ではあったが――守備陣からすると「そこはなんとかボールを保持してくれ!」という場面でボールをロストするような場面が見られたのが改善点だろうか。
ただ、〈主力の欠場が続いた連戦で、チームを引っ張り続けた久保にゴールまで期待するのは過剰なことか〉というニュアンスを前節の記事で記したが、まさに勝利を手繰り寄せるゴールまでも奪った今日のプレーは手放しでの賞賛に値し、さらなる飛躍の兆しが見える。
カタルーニャでぜひ食べてほしい“特別な玉ねぎ”
話は変わり、前回記事ではサンセバスティアンのシードラを紹介したが、今回は試合のあったカタルーニャ州のカルソッツをご紹介。
この時期だけに食べられるカルソッツは、季節限定の郷土料理。簡単に言ってしまえば、ネギの炭火焼きに特製ロメスコソースを付けて食べるだけというもの。
ただこの長ネギのような見た目のネギは、玉ねぎを特別な方法で手間暇かけて栽培したもの。
年季の入った厨房では、熟練の職人がネギを焼いてくれる。見た目も食べ方もユニークで、席に着くとエプロンとビニール手袋が渡される。
真っ黒こげに焼かれたネギだが、表面の焦げを引っこ抜くと、白い肌を露わにする。アーモンドやニンニクがミックスされたお店独自のソースを付けてパクリとかぶりつく。香ばしいソースと、玉ねぎ由来の甘みが混ざり合い、何本でも食べてしまう。
〈本場は手袋なんてしない〉
と、素手で食するカタルーニャ人フランセスクの手は確かに汚れることはなかったが、食べ終わる頃には、真っ白だったテーブルクロスも炭だらけに……。バルセロナにお越しの際は、ぜひご賞味ください。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。