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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
秋山戦に続いて復帰戦も完敗…“格闘技者”青木真也が敗戦後に明かしたこと「評価はありがたいけど、“客”に主導権は渡さない」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byONE Championship
posted2022/12/21 11:03
11月19日、ONEのザイード・イザガクマエフとの一戦
階級は落とさないと決めた理由
秋山戦もイザガクマエフ戦も、かなりの体格差があった。現在のライト級からフェザー級に階級を落としたほうがいいのではないか。そういう声もあるし、青木もそれは意識している。意識して、考えた結果、階級は落とさないことにした。
「落とすモチベーションがあんまなくて。フェザーだってレベルが高いですから。落として勝率が上がるとは限らない。だったら、そこ(減量)で体を削る必要はないなと」
年齢の部分も含め、1階級の減量はかなりきついと青木。ライト級はナチュラル体重だが、普段から節制しているから常に“ベスト体重”という捉え方もできる。
「節制とか、そういう意味での真面目さは群を抜いてるところがあるじゃないですか、俺は。現時点での自分が一番、健康的ではあるんですよ」
ONEのCEOであるチャトリ・シットヨートン氏は「シンヤは酒ともタバコともパーティーとも無縁な生活をしている」と評している。
帰国したらMRIも…先輩ファイターの教えがあった
もう一つ、ダメージについても青木は無視していない。帰国するとMRI検査を受けている。試合直後だけに若干の腫れはあるものの、結果として問題はなかったそうだ。検査を受けることにしたのは、数少ない現役の先輩ファイター、宇野薫の勧めがあったからだ。
「宇野さんが“お願いだから受けて”と。来年で40歳、MMAやって20年。今の自分にそう言ってくれる人がいるのはありがたい、本当に」
今回、青木に話を聞いて、取材する側としても少し安心した。SNSでの発言は強気でも、自分の実力やダメージ、コンディションについてはしっかり意識していたのだ。キャリアを重ねても感覚が摩耗していない。
それは自分以外の試合についても当てはまる。ある会場で、KO負けした選手が「大丈夫」と言いながらも様子がおかしいのを見て、レフェリーとともにケアしたこともあるという。セコンドについた選手には「(返せないと思ったら)ギブアップしろよ」と声をかけるそうだ。無用なダメージを負ってほしくないのである。