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「素人の喧嘩じゃない、これが格闘技だ」平本蓮はカオスな格闘技界の救世主か、それとも…W杯日本戦でも炎上上等の「クロアチア応援です」
posted2022/12/12 11:01
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
11月6日に名古屋で開催された『RIZIN LANDMARK 4』で弥益ドミネーター聡志との一戦に勝利したあとも、平本蓮の周辺は相変わらず騒々しい。発信源はリングやケージ、記者会見だけではない。いまや多くの格闘家にとって必須アイテムになりつつあるSNSが、“平本劇場”の舞台となっている。
平本の矛先は格闘技だけではなく、サッカーのW杯にも向けられる。グループリーグ初戦でドイツを破るという大金星をあげた日本がコスタリカとの第2戦目を迎えるにあたり、平本は「ここで負けたら予選敗退 そんなコスタリカを応援してしまう」とTwitterに投稿。日本の勝利を祈る人々から顰蹙を買った。
それでも、平本はいつも通り慌てることなく、「俺元々国的にコスタリカ好きだからアンチやめてください、ワールドカップ始まる前からコスタリカ応援してたしね」「日本人が日本応援しないといけないみたいな日本人集団主義みたいなの押し付けてくるのやめてくれません? 日本応援しなきゃいけないみたいな赤紙届いてないしね」「マジでこんなに叩かれる理由がわからん… どんな国やねん… 早くグリーンカード欲しい…」と続けた。
決勝トーナメント1回戦の日本対クロアチア戦に際しても、「クロアチアと言えばミルコクロコップ。ミルコクロコップと言えばストライカーの希望 よって真っ当な理由でクロアチア応援です」とツイート。みんなが右を向けば、当たり前のように左を向く。間違っても同調圧力には屈しない、唯我独尊を貫く平本らしい選択ではないか。
SNSで好き勝手に“因縁”を作っていく選手たち
先日、MMAデビュー戦で辛酸を舐めさせられた萩原京平の話題を振られると、平本は「一緒に練習してあげてもいいよ」と好意的に反応した。
「萩原京平ファイトスタイルに迷いがあるなら剛毅會空手来たらいいじゃん」
剛毅會(ごうきかい)空手とは、平本が練習に取り入れることで飛躍のきっかけとなった、岩崎達也氏が創始した空手流派を指す。様々な格闘技を研究し、2002年の『Dynamite!』でヴァンダレイ・シウバと闘った岩崎氏の指導は納得できるものがあるのだろう。
この提案に対して萩原は「お前なんかと練習するわけないやろ」と拒否。「2024年頃に東京ドームでまた公開処刑にしてあげるから覚えとけ」と宣戦布告した。プロモーターの思惑が介在しなくても、SNSを通して選手同士が勝手にやり合い、勝手に盛り上がる。そんな無軌道なベクトルがドラマを紡いでいく。誰もが予想だにしなかった選手ファーストが、昨今の格闘技の流れだ。