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中村憲剛に聞く「次の監督は日本人か、外国人か」…W杯を見るほどに感じた“世界との差”とは?「育成年代から基準を上げなければ」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/09 17:02
カタールW杯で日本を決勝トーナメント進出に導いた森保一監督。正式な発表には至っていないが、続投に前向きな姿勢を示している
W杯を見るほどに感じた「止める、蹴る」の差
カタールW杯をここまで見てきて、攻撃の時間を長くするための前提条件は「止める、蹴る」だと思っています。
えっ、W杯を見てそこへ行き着くの、と思う人がいるかもしれません。
戦術やシステム、身体能力などはもちろん大事です。しかし、今大会を細かく見れば見るほど、「止める、蹴る」に差を感じました。
「止める、蹴る」の基準を上げていくのは、育成年代から意識づけが必要です。育成年代から「あたりまえの基準、日常の基準」を上げていかなければ、根本的に変わっていかないですし、Jリーグもそのレベルをもっと上げることができると思います。
世界のトップ・オブ・トップの国と日本を比べると、パスの正確さとスピードに差があります。パススピードの速いボールを、ミスなく操れているのかどうかも。
激しいプレッシャーを受けても、いつもどおりにボールを止めてプレスを回避する。ボールを止める技術があれば、高速パスは受け手に時間と余裕を与え、余裕があるぶんプレーの選択肢が増え、相手はうかつに近づけない。ボールが止まり、顔が上がれば、周りもその後を予測しやすく、相手が読めないタイミングの早い動き出しが可能になります。
そのパススピードのなかで日々プレーしている選手は、プレスの強度も高い。正確に止められる相手には、本気でボールを奪いに行く迫力を出さないと奪えないからです。コースを限定するためのプレスと、ボールを狩りにいくためのプレスのどちらが、相手に圧力をかけられるのかは比べるまでもありません。
速いパススピードや正確にボールを操る技術をベースに、選手一人ひとりが相手を見て自分発信で状況を好転させられる柔軟性、順応性、対応力を養う。それと同時に、高強度で奪う、奪ったら出ていくといったように、連続して戦えるタフさや強さもしっかりと育めるような日常にする。
Jリーグで若くして活躍できる選手たちを輩出し、Jリーグでいまよりももっと躍動感のある戦いが繰り広げられることで、世界のトップクラスに追いついていく。今大会のベスト8に残っているチームの戦い方を見て、それが重要だと感じています。