サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「感動をありがとう、で終わらせないために」中村憲剛の提言…日本が“ベスト8の壁”を越えるために必要なもの「勤勉性や忠誠心だけでは…」
posted2022/12/09 17:01
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
カタールW杯のラウンド16でPK戦の末にクロアチアに敗れ、サッカー日本代表が目標に掲げてきたベスト8進出は叶わなかった。
グループステージでドイツとスペインを撃破しながら、決勝トーナメントで勝ち切れなかった要因はどこにあるのか。元日本代表の中村憲剛氏が、ベスト8に辿り着くための「課題」について語った。(全3回の2回目/#1、#3へ)
◆◆◆
クロアチア戦は、ドイツ戦やスペイン戦よりボールを持つ時間は増えました。しかし、相手を見ながら押し込み、ペナルティエリアで構えた相手の間に割って入っていくシーンは少なかった。40分に遠藤航からペナルティエリア左の鎌田大地へパスがつながった場面と、延長後半の三笘薫からペナルティエリア左の冨安健洋へ縦パスが入った場面くらいでしょうか。
相手が前線から圧力をかけてきても、ビルドアップを安定させて相手陣内に侵入する。ペナルティエリアで人数をかけられても、意表を突くパスと動きで侵入していく。そうやって得点の可能性を高めることが、ベスト8入りには必要だと思うのです。
ボール保持もカウンターもできるチームがベスト8に
ベスト8に勝ち上がったチームを見ると、ボールを握って押し込み、圧倒的な「個」が起点となって点を取る。同時に、相手を引き込んでのカウンターから決定機を作ることもできる。基本的にはボールを保持して攻撃し、臨機応変に戦い方を変えられるチームが多く勝ち残っています。クロアチアもボールを握って相手を押し込むことができ、カウンターもできる。日本が安定してベスト8入りを目指すためには、どちらかひとつではなく、どちらもできるようにしなければいけないと思います。
ボールを握って相手を押し込むことについては、日本代表の選手たちが所属するクラブのスタイルにも触れるべきかもしれません。
アーセナルでプレーする冨安は、パスワークで相手を崩すサッカーをベースにして、プレミアリーグで首位に立っています。フランクフルトでプレーする鎌田も攻めて勝つサッカーに馴染んでいて、いい守備からのカウンターとボール保持を使い分けながら、昨シーズンはヨーロッパリーグで優勝しました。クラブでの日常がそうだから、彼らはW杯でも同じようにできる、といった趣旨のコメントを残したのでしょう。