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「ユヅルは憧れ。いつか会いたい」フィギュア“世界初”、ブラジルのトランスジェンダー選手14歳に聞いた“孤児院&両親がゲイカップル”の半生 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byHiroaki Sawada

posted2022/12/07 11:02

「ユヅルは憧れ。いつか会いたい」フィギュア“世界初”、ブラジルのトランスジェンダー選手14歳に聞いた“孤児院&両親がゲイカップル”の半生<Number Web> photograph by Hiroaki Sawada

世界で初めてトランスジェンダー選手としてジュニアGPに出場したマリア・レイクダル。ブラジルで本人に話を聞いた

――その後、フィギュアスケートの競技会に出るようになり、ジュニアのブラジル選手権で2連覇。ブラジル代表としてヨーロッパで行なわれる国際大会に出場できると知ったときの気持ちは?

「ブラジル選手権で優勝できたのはとても嬉しかったし、自分の国を代表して国際大会に参加できるのは本当に誇らしい。その一方で、責任も感じました」

自分も、もっともっと練習してうまくなりたい

――9月にリガ(ラトビア)で行なわれた大会では、緊張した?

「ものすごく緊張しました。本当は、もっとうまく滑れたと思う。でも、すべてが初めてだったし、素晴らしい経験でした」

――10月のエーニャ(イタリア)大会では、もっと落ち着いて演技できましたか?

「そうですね。ラトビアの大会よりは落ち着いてできたかな」

――この大会では、日本の吉田陽菜(17)が優勝しました。どう思いましたか?

「ものすごく上手だし、国際大会に慣れていて、とても落ち着いている。素晴らしい選手だと思いました。自分も、もっともっと練習してうまくなりたい」

――今後の目標は?

「来年、また国際大会に出場して、もっと良い成績をあげたい。最終的な目標は、2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪にブラジル代表として出場し、好成績をあげることです」

――2026年、あなたは18歳ですね。

「フィギュアスケートの選手としては、とてもいい年齢だと思います」

ユヅルは憧れ。とても気品があり、スケーティング技術が高くて…

 私とマリアのやり取りを聞いていたコーチで父親のグスタヴォが、口を挟んだ。

「以前、ブラジルにはイザドーラ・ウィリアムスというスケーターがいた(注:女子シングルの選手で、2014年ソチ五輪で30位、2018年平昌五輪で24位)。でも、彼女は生まれも育ちもアメリカなんだ。生まれも育ちもブラジルのマリアが世界に挑戦することには、ブラジルのフィギュアスケート界にとって大きな意味があると思う」

――日本人で好きな選手はいますか?

「ユヅル(羽生結弦)。とても気品があり、スケーティング技術が高く、ジャンプも素晴らしい。憧れの選手です。いつか会いたい」

 マリアは、こう言って微笑んだ。

【次ページ】 マリアのことを知って、親たちが教室に習わせるのをやめた

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