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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ユヅルは憧れ。いつか会いたい」フィギュア“世界初”、ブラジルのトランスジェンダー選手14歳に聞いた“孤児院&両親がゲイカップル”の半生
posted2022/12/07 11:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Hiroaki Sawada
今季のジュニアグランプリシリーズに2戦出場したブラジル代表の「マリア・レイクダル」。現在14歳で、フィギュアスケート界における世界初のトランスジェンダー(男性→女性)の彼女は身長150cm、体重42kg。小柄でほっそりとしているが、笑みを絶やさず、一見したところ可愛らしい女の子にしか見えない。
しかし前編で両親に聞いた通り、肉親からのネグレクト、孤児院での生活、そして性同一性障害といった壮絶な人生をマリアは歩んできた。ブラジル南東部の街・クリチーバで本人にじっくり話を聞いた。(全2回のうち第2回/#1から読む)
性別ではなく、人間としてどうなのかが大事
――自分が男の子ではなく女の子だと感じ始めたのはいつ頃?
「はっきりとした時期は覚えていないけれど、物心ついたら心は女の子だと感じていた」
――それは、孤児院に入る前から?
「そうです」
――6年前、3人のきょうだい揃って、グスタヴォとクレベールの養子になった。そのときの気持ちは?
「2人とも素晴らしい人なので、とても嬉しかった」
――2人がゲイのカップルであることをどう思った?
「別に何とも思わない。性別ではなく、人間としてどうなのかが大事だと思うから」
滑っていると、自分がとても自由になった気がした
――2人はスケートのインストラクターだけど、当初、あなたはスケートがあまり好きではなかったそうですね。
「そうなの。転倒すると痛いから……。でも、次第にうまく滑れるようになり、ほとんど転倒しなくなって、どんどん好きになった。滑っていると、自分がとても自由になった気がしたの」
――競技会に出場したいと思った理由は?
「上達することで、少しずつ自信がついてきた。競技会があると聞いて、チャレンジしてみたいと思ったの」