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山本草太の活躍に、宇野昌磨は“祝福の微笑み”を投げた…佐藤駿に三原舞依らも初出場、トリノGPファイナルが“日本の特別な大会”になる理由
posted2022/12/07 11:03
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
12月8日から、イタリアのトリノでシニアジュニア合同のGPファイナルがはじまる。パンデミックの影響で2020年、2021年と2年連続でキャンセルとなったこの大会の開催は3年ぶりのことだ。
本大会は、日本勢にとって特別な大会になる。その理由は男子4名、女子3名、ペア1組、さらにジュニアで男女それぞれ3人、ペア1組の合計17人と過去最多の進出を果たしたからだけではない。これまで何シーズンか、負傷などで不調に苦しんできた3人の選手が、トップに這いあがってきた記念すべき大会だからだ。
札幌で開催されたNHK杯男子では、山本草太が2位に食い込み、フランス大会の2位と合わせて見事シニアGPファイナル初進出をもぎとった。
SP1位だった山本は、フリーではいくつかミスも出て6位。それでも総合で2位という数字が表示されると、場内から大きな拍手が沸き起こった。その様子をリンク際から、熱心に見守る宇野昌磨の姿があった。
宇野から山本へ、祝福の微笑み
宇野はもともと大きな目を、さらに大きく見開いて嬉しそうに微笑んだ。それは明らかに自分が逆転優勝した喜びではなく、山本が2位に残ったことを知った、祝福の微笑みだった。
「一緒にファイナルに行けることはとても嬉しいです。日々草太君の練習を見ているので、練習でちゃんとできている人ほど、やはり試合でより応援したくなる。間近で見ているからこそ、練習で素晴らしい演技をしているのを見ているからこそ、試合でも良い演技をして欲しいと強く思っています」
二人で一緒にファイナル進出となった感想を聞かれると、宇野はまずこのように口を開いた。現在は二人とも中京大学のリンクで練習をしているリンクメイトでもある。
「今日はジャンプのミスが出てしまったけれどもしっかり4回転二種類跳んでいましたし、これからもっともっと成長していくと思いますし、ぼくもファイナルに日本人、今のところ三浦佳生くんと草太くんと一緒に行くことが、すごい心強いです。まあ年齢は僕の方が年上なので、自分が何か手本となる選手でいられるようにスケートと向き合っていけたらと思っています」