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2日でクローザーを2人失い…それでもオリックスのリリーフ陣が最強であるワケ「答え」を決めない中嶋監督流のゲームプランとは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2022/10/27 14:00
オリックスの強力リリーフ陣を支える山﨑颯一郎(左)と宇田川優秀希(右)。ともに150キロ台後半の速球をもつ
7番の指名打者、ドミンゴ・サンタナ外野手は2球で追い込みフォークで3球三振。8番の中村悠平捕手は今度はフォーク2球に、最後は153㎞のストレートで2者連続の3球三振に仕留める。あのヤクルト打線を力でねじ伏せる圧巻投球でバトンを繋いだ。
7回からは3番手の山﨑颯一郎投手も回またぎで2イニング。8回1死から4番・村上宗隆内野手に対して5球連続で150㎞台のストレートで追い込むと、フォーク1球を挟んで、最後は再び159㎞、渾身のストレートで左飛に打ち取り0点に抑える。
オリックス中島監督の”逃げ切りの答え”
迎えた9回、中嶋監督がクローザーとして送り出したのは、ジェイコブ・ワゲスパック投手だった。
優勝するどのチームにも、勝利のマウンドを託すクローザーがいるものだが、今年のオリックスは、そこに強くはこだわらないのがチームの特長でもあった。
シーズン中は基本的には昨年に続きチーム最多の28セーブを挙げた平野佳寿投手がクローザーの役割を担ってきた。しかし決して平野1人を絶対的なクローザーとは考えずに、投手のコンディションとチーム状況を見ながら臨機応変にゲームを締めくくる。日によって、試合によって逃げ切りの答えを見つけて、送り出してきたのが中嶋流のゲームプランだったのである。
そしてシーズン終盤、指揮官が逃げ切りの答えとして用意したのが、平野ではなく阿部翔太投手だった。シーズン終盤のデッドヒート。優勝を決めた10月2日の楽天戦で3点差の9回にマウンドに立ったのは阿部だった。ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージでも第2戦の2点差の9回、そして日本シリーズ進出を決めた第4戦の同点の9回にマウンドに立ったのも阿部である。
日本シリーズという短期決戦を勝ち抜くためには、必要だった絶対的クローザー。その役割を託す存在として指揮官が指名したのがこの右腕だったはずだ。
ところがその目論みが吹き飛んだのが第2戦だった。