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「今回のドラフトは成功」ベイスターズスカウトが明かす指名10選手に込めた思い「上位候補が少ない中で狙ったのは…」
posted2022/10/27 11:02
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
「球団の希望に沿った選手の交渉権をバランスよく獲得でき、わたしとしては今回のドラフト会議は成功したと感じています」
そう確信を込めた表情で語るのは、横浜DeNAベイスターズの編成部アマスカウトグループリーダーの八馬幹典氏だ。過去、三上朋也や倉本寿彦、戸柱恭孝、伊勢大夢、入江大生などのチームの主力選手を担当してきたスカウトマンである。
10月20日に行われたドラフト会議では、9球団が1巡目指名選手を公言するという前代未聞の事態となったが、スカウト10年目の八馬氏にとっても当然初のケースであり、これまでにない独特の難しさを感じたという。
他球団が公言の裏側「上位候補が少なかった」
「球団としての方針にブレはありませんでしたが、今回は、わたしが経験したドラフトのなかでも上位候補となる選手が少なく、ゆえに競合を避けたい思惑から9球団が公言するという形になったと思います。我々としても競合のリスクを考えながらの指名となり、かなり緊張感があったのですが、幸いすんなりと狙っていた1巡目選手を指名することができました。これがドラフトの成功に繋がった一番の要因だと思います」
緊張感のなか、DeNAがまず1巡目で指名したのが高校生No.1捕手の松尾汐恩(大阪桐蔭)だ。高校通算38発を誇る、野球センスに長けた強肩強打の捕手。DeNAの未来を担うプロスペクトといっても過言ではないだろう。八馬氏は、松尾を次のように評する。
「非常に能力の高い“走攻守”そろった選手であることに疑いの余地はありません。肩が強く、キャッチングからのスピードも速い。またバッティングでも遠くへ飛ばすセンスを持っている将来性豊かなキャッチャーだと思っています」
やはり高卒捕手だけに時間をかけて育成していく方針なのだろうか。