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「若い選手は怯まず向かって行って」スピードスケート日本代表にしてサッカートレセン選抜の高木美帆、“親御目線”でW杯を語る 

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渋谷編集室 with ABEMA

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/10/14 11:00

「若い選手は怯まず向かって行って」スピードスケート日本代表にしてサッカートレセン選抜の高木美帆、“親御目線”でW杯を語る<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

中学生までスケートと並行してサッカーを続けていた高木選手。「未来のなでしこジャパン候補」と呼ばれるレベルだった

――若手とベテランの融合や世代交代はどのスポーツでも起こることですし、若手の台頭やベテランの力はどちらもチームを支えるうえでは欠かせないですよね。

高木 スケートの場合、基準とされるタイムがあって、それをクリアすれば代表に選出されます。サッカーの場合は個人の能力はもちろんですが、チームとして見たときのバランスなども考慮されるでしょうし、その基準の中にはこれまでの経験も加味されると思います。起用する側が経験値のある人を使うことがどれほど楽なのかは分かりますし、必要だからこそ選出されると思うのですが、かといってそういう人ばかりで構成されると、若い世代に空白の期間が出来てしまいます。

 今の日本代表は若手に勢いがあるけれど、予選でうまくいかずにベテランが投入されたこともあったと聞いています。チームの歯車がかみ合わないときにベテランがパチンとはめてあげることで一気にチーム力が底上げされることもあるんだなと感じましたし、それがベテランの役割なんだとも感じました。

 ただ、個人的には若い選手たちに勢いがあるということなので、そこには今回のW杯では注目したいですね。“うわーっ、キターっ!”とか、“次は何をしてくれるのかな”とワクワクさせてもらいたい。勢いがあるゆえに大変なこともあるでしょうけど、そこを逆手にとって、怯まずに向かって行ってほしいです。親御目線で語っちゃいましたけど(笑)。

個人と団体、選考を待つ選手の心境の違い

――過去3度の五輪に出場された高木選手だからこそ、目前にW杯という大舞台を控える選手たちの気持ちも、十分すぎるほど理解できるのではないでしょうか。

高木 私たちはタイムという明確な基準がありますが、メンバー発表まで、そして大会を迎えるまで、選手たちにとっては毎日が選考であり、チェックを受けているわけですよね。まずW杯に出場するために選ばれなければいけないという第1関門を目指す。もう考えただけで吐きそうです(笑)。

 個人競技である私たちは、自分がどう速く滑るかということだけにフォーカスすればいいけれど、団体競技は自分が選ばれることに加えて、チームが強くなるという2つのことを同時に考えなければいけない。そういった意味では本当に大変なスポーツだと思います。

 チームを牽引する森保(一)監督にもぜひ頑張っていただきたいです。

(構成=石井宏美)

高木美帆(スピードスケート)(たかぎ・みほ)

1994年5月22日、北海道生まれ。09年バンクーバー五輪に日本のスピードスケート史上最年少で出場。14年ソチ五輪は代表の座を逃すも、18年平昌五輪では団体パシュートで金、1500mで銀、1000mで銅メダルを獲得。22年北京五輪では5種目7レースに出場し、1000mでは自身初となる個人種目での金メダルを獲得。他に1500m、500m、団体パシュートでも銀メダルを獲得した。

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