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[棋士が教える]次なる世代を育てる AIとの向き合い方
posted2022/10/07 07:02
text by
小島渉Wataru Kojima
photograph by
SANKEI SHIMBUN
止まることのない天才の躍進と、過熱するAI研究を目の前に、ネクスト藤井世代は、如何にして令和の将棋界を歩んでいくのか。多くの弟子を抱え、後進の育成に励む2人の棋士とともに空前の「将棋ブーム」の最中に将棋盤と向き合うAIネイティブの子どもたちの未来を考える。
天才は時代を作り、時代もまた天才を生んできた。藤井聡太ブームは将棋への注目を集め、各地の子ども教室は盛況である。20歳の藤井を追いかける若者は何を考え、どういう環境で育つのだろうか。
奨励会に多くの弟子を抱え、自ら運営する教室では初心者からアマ有段者まで指導するなど、後進の育成に熱心な飯塚祐紀七段と戸辺誠七段に話を聞いた。
飯塚は佐藤康光九段と同い年の53歳。「羽生世代」より遅れて22歳でプロになり、彼らの背中を追いかけてきた。藤井と同じく居飛車党で、将棋AIも積極的に取り入れている。
戸辺は奨励会員のときから2歳上の渡辺明名人に可愛がられた。「戸辺攻め」とも呼ばれる独自の感覚で、石田流とゴキゲン中飛車を開拓してきたことでも知られる。
藤井がデビューして6年。飯塚はネクスト藤井世代が奨励会に入るころだと話す。
「少子化ながら、将棋を嗜むお子さんは減っていません。それは藤井竜王のおかげです。優秀な少年少女のなかから、優れた棋士がきっと出てくると思っています。
奨励会に入ったばかりの子でも、藤井将棋をよく見ています。さらにAIで検証してもっといい手を知っていることもある。もちろん実力的にはまだまだですが、よく考えるとAIを使う藤井竜王と同じことをやっているんです。偉大な芸術家も最初は模倣から入りますからね。そういうことを小さいころから繰り返していけば、想像もできないようなことが起こる気がします」