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「闘うグラドル」もデビュー、アクトレスガールズの“華がスゴい”新人たちの裏で…エース・青野未来が泣いた理由「まったく追いつけていない」
posted2022/09/16 11:04
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
青野未来は2017年にプロレスラーとしてデビューした“闘う女優”である。タレント、演劇活動と並行してプロレスも始め、昨年はタッグ王者にもなった。
現在もリングに上がり続けているが、しかしそれは“プロレス”ではない。所属するアクトレスガールズが方針を大きく変えたためだ。
プロレス団体としての活動は昨年で終了。今年からはプロレスの技とフォーマットを使ったエンターテインメント・パフォーマンスを謳っている。ジャンルのネーミングとしては「アクトレスリング」となった。あくまでパフォーマンスで、勝敗はあらかじめ決まっている(と公式にアナウンスされている)。
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勝敗を決めるシステムとして、新たに導入されたのは「ポイントマッチ」。チケットやグッズの売上による人気ポイント、練習に出た回数、パフォーマンス力、運(サイコロを振って決定)といったポイントの合計点で勝敗が決まる。ポイントの詳細は事前に公開されないから、観客は普通のプロレスと同じように試合(パフォーマンス)を見るしかない。「アクトレスガールズならではの楽しみ方」がまだ確立されていないのだ。運営サイドが提供できていない、というのがより正確な表現だろう。
新体制では“闘うグラドル”もデビュー
アクトレスガールズはプロレス団体ではなくなった。だから取材に来なくなったプロレスマスコミも多い。プロレスをやりたい選手たちは団体を離れていった。当然のことだ。彼女たちは“プロレス界に残った”のだ。
プロレスラーとしてプロレス界で活躍する卒業生たちを語る際、アクトレスガールズは「活動休止」、「団体がなくなった」という説明をされることもあった。プロレス団体として活動休止、プロレス団体としてはなくなった、ということだから間違いではないのだが、しかし青野のようにアクトレスガールズに残り、リングに上がる者たちもいる。世の中から消えてなくなったわけではない。
純然たる“プロレス”ではなくなったことで、やる側のハードルが低くなった面もある。“プロレスラーになる”ことには抵抗があっても「プロレス風パフォーマンスなら」と。実際、新体制がスタートしてから続々と新人がデビュー。8月12日の後楽園ホール公演(スポーツイベントではないので大会とは呼ばれない)でデビューし、一際目立ったのは身長173cmの“闘うグラドル”後藤智香だ。