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「闘うグラドル」もデビュー、アクトレスガールズの“華がスゴい”新人たちの裏で…エース・青野未来が泣いた理由「まったく追いつけていない」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/09/16 11:04
新体制初の後楽園ホール公演、メインで勝利した青野未来
“元スターダムGM”風香からの提言
ファンからは「プロレスをやってほしい」という声もあるそうだ。青野もそうだが、たぶんそれが一番スッキリする。けれど2人とも、アクトレスガールズへの愛着が強いのだ。演劇、芸能活動をしながらリングに上がること。後輩たちを育てること。アクトレスガールズとしての演劇公演もある。「私はどれも捨てられなかったんです」と松井は言った。
悩める2人にとって、そして団体にとって大きな力になりそうなのが、8月からアドバイザーに就任した風香の存在だ。元人気レスラーにして、スターダムのGMだったこともある。そのスカウト能力と指導力は誰もが認めるもの。アクトレスガールズの坂口敬二代表にアドバイスを求められると「それなら仕事としてしっかり取り組みたい」と決意した。
8.12後楽園公演が就任後の初仕事にして初鑑賞。思ったのは「凄い才能を持ったメンバーがたくさんいる」ことと「エンターテインメントと言いながら、他のプロレスと区別がつかない」ことだったそうだ。
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「プロレスじゃないエンターテインメントという形にしたのなら、もっとストーリーや演出を際立たせないと。メンバー個々の能力は高いんですけど、それが整理されてない感じもします。それぞれが“あれをやりたい、これをやりたい”と全部やってしまって、結果としてゴチャゴチャして分かりにくいんですよ。個性を潰し合って、みんなが“その他大勢”に見えてしまう。エンターテインメントである以上は完成されたものを見せなければいけないですし」
風香「素材は素晴らしいんです」
演者たちを鍛え、同時にエンターテインメントとしての見せ方もブラッシュアップする。「プロレスファンの人たちにも“これはこれで他のプロレスと違って面白いな”と思ってもらえるものにしたい」と風香。ポイントマッチという独自システムも、しばらくやってみて選手が前向きになれなかったり、手応えがないようなら考え直してもいいのではないかと言う。
「今は試合をしているだけ。でも素材は素晴らしいんです。埋もれさせるのは本当にもったいない。実は新体制のアクトレスガールズは、ここまで“体制”と呼べる状態ではなかった。今は何が問題なのかを考える段階。だからこれからです。といってもゆっくりはしていられない。10月の後楽園ホールまでに、しっかり変化を見せたいです」
風香の力を得て、何がどう変わるのか。少なくとも、青野や松井が迷いなく“闘う女優”でいられる環境がほしい。大量離脱を招いてまで作った新体制。残ることを選んだ彼女たちに後悔だけはしてほしくない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。