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プロ入り3年目の大谷翔平…交流戦で戦った“セ・リーグ強打者たち”の声「メジャーリーガーになる人」「ダルビッシュに似ているところが…」
posted2022/09/04 06:01

プロ3年目の大谷翔平に対するセ・リーグ打者たちの評価とは?(写真は2016年日本シリーズ)
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
プロ3年目の大谷…セ・リーグ打者たちの評価
投球内容の善し悪しを問わず前向きな姿勢を貫く大谷翔平が、珍しく負の感情を顕わにした。
6月14日のDeNA戦。大谷は試合前、今までになく調子の悪さを感じていた。
「ブルペンからよくなかった。フォークが落ちなかったり、スライダーも曲がらなかったり。最近では一番悪かったです」
だが、状態と結果が必ずしも一致するとは限らない。この試合、大谷は8回途中に右足首の違和感で降板するまで相手打線を4安打1失点に抑え、チームに勝利を呼び込んだ。
「使えるボールが真っ直ぐしかなかったので、相手の裏をかきながら騙しだまし投げました」
大谷は自身の投球をそう説明した。
梶谷隆幸「打席に立つと速く感じました」
この日の最速は159km。交流戦でしか対戦のないセ・リーグの打者たちが「いかにして大谷の160kmを打ってやろうか」と牙を剥いてくることは大谷自身、分かっていたはずだ。にもかかわらず、ストレートだけで相手を翻弄するあたりに今の大谷の凄みが表れている。
梶谷隆幸はそれを体感したひとりだ。
「やっぱり打席に立つと速く感じました。いいコースに来たボールは対応するのが難しかったです。簡単に打つことはできないし、カットしようにもうまくいかない」
そう脱帽するのも仕方がない。DeNAの中軸を担う3割打者ですら、昨年に続き今年も1本の安打も放てず大谷の前に屈したのだ。
今年の大谷は、昨年の11勝を上回るペースで勝ち星を重ね、9勝1敗、防御率1.47、奪三振率11.19と、圧巻の成績をマークしている(6月25日現在)。好調の理由は、このDeNA戦のように自身を俯瞰して最善の投球を導き出し、それを実行するパフォーマンスが備わったからだ。
思い返せば、交流戦での大谷は、その修正能力が際立っていた。