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《水島マンガの野球予言》レーザービームと忍者野球…新天地を驚愕させたイチローと真田一球のスーパープレーの功績とは?
text by
オグマナオトNaoto Oguma
photograph byJIJI PHOTO
posted2022/06/10 06:01
2001年4月11日。アスレチックス戦の8回裏、「レーザービーム」で全米に衝撃を与えたイチロー
そんな、誰もが驚く「驚愕の肩」と「忍者のような走塁」を先に実践していたのが『週刊少年サンデー』で連載した『一球さん』の主人公、真田一球だ。
たとえば、イチローがメジャーデビュー直後に披露し、アメリカでの信頼を勝ち取るきっかけとなったレーザービーム。これと同じ「ライトから三塁へのノーバウンド・ストライク送球」の描写が一球のデビュー戦、神宮大学との練習試合で描かれていた。「ヒットをアウトにする男 真田一球」という実況とともに、一球の存在感を高めることに大いに役立ったシーンだ。
見たこともない神走塁
また、真田一球といえば、父親が真田幸村に仕えた忍者・真田一心の19代目という設定。その忍者ぶりは「見たこともない走塁」描写として、試合ごとのハイライトに。練習試合ではあるが、投手前のバントでダイヤモンドを1周して得点につなげたこともあった。イチローがメジャーで「神走塁」と呼ばれる快走劇を演じるたび、『一球さん』と真田一球のことを思い出していたのは、きっと筆者だけではないはずだ。
そもそも、イチローと一球、名前まで似ているふたり。字こそ違えど、イチローが自らの愛犬に「一弓」と名付けたのは、一朗の「一」と弓子夫人の「弓」から取ったからだとはじゅうぶん承知しつつも、やはり関連付けたくなるネタである。
水島ワールドのなかでは、景浦安武がメジャー代理人から何度もラブコールを受け、山田太郎のFA取得の際にはメジャーから何球団も視察に訪れる、というシーンが描かれてきた。だが、「身体能力」の面でもっともメジャーに近かった男と言えるのは、実は野球素人の真田一球だったのかもしれない。