濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
村田vsゴロフキンで“号泣”したワケは…天野麻菜と人気グラドル・雪平莉左が語る「リングガールのプロ意識」《特別グラビアインタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2022/06/05 11:03
村田vsゴロフキン「号泣リングガール」で話題の天野麻菜(左)と、「井上vsドネア2」で初の世界戦を担当する人気グラドルの雪平莉左(右)
「確かに、絶対に必要な存在とは言えないと思います。いなくても試合はできますよね。でも“いてもいい”とは言えるのかなって」
近年は総合格闘技やキックボクシングも含め、アイドルやグラビアタレントがリングガールを務めることが多くなった。その知名度や、SNSを通じての発信力も期待されてのことだろう。雪平は「私のファンの人たちも、告知をすると中継を見て“あの試合がよかった”みたいな声を聞かせてくれますね。自分がきっかけでボクシングを見てもらえるのは嬉しいです」と言う。
リングガールにしか見えない景色、リングガールだから伝えられるボクシングがあるのではないか。天野はそう考えている。なにしろ試合直後、タイトルマッチならベルトを巻いた、あるいは奪われたすぐ後の選手たちとリング上で接するのだ。バックヤードでの選手の様子を垣間見ることもある。
「そういう意味でも、ゴロフキン選手は凄かったです。オーラに圧倒されましたし、紳士でもありました。リングでの選手は殺気立っていることも多いのに、凄く落ち着いていて。“本当に強い人はこんな感じなのかな”と思いましたね。体つきも映像で見るより迫力があって。
逆に村田選手は普段と違う感じでした。般若のような表情というのか、やっぱりかけるものがそれだけ大きいんだなと思いましたね。そういったこともどんどん伝えていけたらと思います」
リングガールたちの覚悟
リングに「花を添える」といった言葉もあるが、SNS時代のリングガールにはそれ以上の役割があるのだ。
「私がきっかけでボクシングを見てくれる人がいますし、できれば会場で見てほしいです。一度、先入観なしで見てもらえたら魅力が伝わると思うんですよね。私もそうでしたから。特に後楽園ホールでは毎月、試合があるので」
さいたまスーパーアリーナでの世界戦も後楽園ホールでの新人同士の闘いも、どちらも面白いと天野。
「後楽園では日本人同士の試合が多いんですけど、そこには世界タイトルマッチとはまた違うドラマ、感情があるんですよ。後楽園はお客様との距離が近いので、リングガールとしても“見られている”という感覚が強くて緊張します。それはたぶんお客様も同じで、後楽園ならではの臨場感があると思います」
雪平は“初の世界戦”を前に「いつもとは違う感覚になるかもしれないですね。それも含めて自分が見たことを伝えられたら」。天野は「村田vs.ゴロフキン、井上vs.ドネア2両方を担当した唯一のリングガール」ということになる。
「凄く光栄なことですよね。“私でいいんだろうか”という気持ちも正直、あります。でも選手のことを考えたらそれではいけないですから」
生半可な気持ちではリングに立てない。そう天野は言う。まるで選手のような言葉だが、リングガールにもそうしたプロ意識があることは、もっと知られていい。
(撮影=橋本篤)
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