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大谷翔平「去年に比べてボールが…」“飛ばないボール”が影響する選手、しない選手は何が違う? 小早川毅彦がポイント解説
text by
小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2022/06/04 11:05
今季、大谷翔平の打席で見られる「これは行ったな」から「あれ?」と戸惑う仕草。飛ばないボールが原因なのか、小早川毅彦氏に聞いた
例えば同じエンゼルスのマイク・トラウトは影響を感じさせないですし、今シーズンから1番に定着したテーラー・ウォードも快音を響かせています。ア・リーグの本塁打ランキングのトップをひた走るジャッジや、ナ・リーグの同1位のムーキー・ベッツ(ドジャース)も、ボールが変わったことなどどこ吹く風といったように、好調を維持しています。
影響を受ける、受けないは打者の何が違う?
この差はどこにあるのでしょう。比較してみると、もともとのバッティングの形によって、ボールが変わったことによる影響を受けやすいかの違いがあるのではないかと思います。ゴルフに例えると、フェード系(左打者の大谷の場合、空中で右にカーブする傾向)の打球だと飛びづらくなり、逆にドロー系(空中で左にカーブする傾向)の打球だと距離が出る。大谷選手は、打つポイントが近い(捕手寄り)ので、体の中に呼び込んで押し返す、押し込むような打撃となり、打球回転がフェード系になるんですね。
一方で、先ほど名前を挙げたようなジャッジやベッツは、自分のポイントを絶対に中には入れず、前でボールをさばくタイプです。だからボールはドロー系になる。二人とも右打者ですが、右中間からライト方向にも、よく打っているんです。それも振り遅れて逆方向に飛ぶわけではなく、自分のタイミングで捉えながら、その後のスイングで大きく弧を描くように振りぬくことができる。どちらがいい悪いということではなく、もともとの打撃の形の差によって、ボールの影響の受けやすさが違ってくる、ということなんですね。
野茂英雄のノーノーが「飛ばないボール」のヒントに?
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さて、日本のプロ野球でも「飛ぶボール」、「飛ばないボール」が話題になったこともありました。確かに反発係数や縫い目、革の質感などで投球や打球の傾向が変化することはあります。ただ、私自身はといえば、現役時代は正直、ボールを気にしたことはなかったですね。当時は投手が1イニング1つのボールで投げることも当たり前。ゴロの打球で土がつこうが、雨に濡れようがそのままピッチャーに戻していました。2011年に統一球が導入されるまでは球団ごとにボールのメーカーも違っていましたし、保管方法もバラバラでした。