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“厚底シューズ”が高校部活動に与えた影響とは? 強豪・佐久長聖の指導者は葛藤「高校生でこんなタイムが出てしまっていいのか」 

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加藤康博

加藤康博Yasuhiro Kato

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photograph byYuki Suenaga

posted2022/05/31 11:01

“厚底シューズ”が高校部活動に与えた影響とは? 強豪・佐久長聖の指導者は葛藤「高校生でこんなタイムが出てしまっていいのか」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

佐久長聖高校の高見澤監督に、高校陸上と厚底シューズの関係について聞いた

「高校生の間の結果だけを求めない指導を」

 ただ今後も高校陸上界の記録が向上していくことは間違いない。佐久長聖高校も2008年に樹立した駅伝の日本高校最高記録を2020年に更新された。それは「本校の誇りだった」と高見澤が言うものであり、選手たちもその奪還がモチベーションになっている。

「ただ大切なのは取り戻そうと努力する姿勢であり、取り戻せたかどうかではないと思います。ですので、高校最高記録を更新しようという話は選手になるべくしないようにしています。ここが難しいところです」

 自分の骨格にあった無理のない形でフォアフット接地を自分のものとし、股関節周辺の筋力がつくなど「ランナーとしての体」が出来上がれば、将来、厚底シューズの性能を最大限に引き出すことができるだろう。そしてうまく武器として使いこなせれば、好結果を出せるだけでなく、選手としての競技寿命も延びるはずだ。だからこそ高校時代の強化を大切にしたいと高見澤は言う。

「大切なのは先につながるかどうかであり、私はこれからもその考えで指導していくつもりです。この考え方がすべてとは思いませんが、選手のためにも、日本の陸上界が今後、世界に近づくためにも、高校生の間の結果だけを求めない指導を続けていきたいと考えています」

 いかにして厚底シューズを武器とし、世界に近づいていくか。高校生年代からそのテーマを持ちながら、取り組まなければならない。高見澤はそう考えている。

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佐久長聖高校の監督に聞く“厚底シューズは高校部活をどう変えた?”「選手のモチベーションが向上」「指導者も故障対策への意識を持つように」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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