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フィギュアの新星・三浦佳生16歳は世界選手権“欠場”から飛躍できるか? 同じ境遇だった若き日のネイサン・チェンが語っていたこと
posted2022/04/11 06:00

1月にエストニアのタリンで行われた四大陸選手権、フリー『ポエタ』で自己ベストとなる162.70点を記録した三浦
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野口美惠Yoshie Noguchi
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AFLO
七転び八起き。16歳の三浦佳生は、周りが驚くほどの逆境力で今季の荒波を乗りこえている。
三浦の魅力は、物怖じしないスピード感と、飛距離のある4回転サルコウ。まだ滑りに粗さがあるが、それを情熱的な演技に変換してしまうドラマティックさがある。何より、「自分は出来る」と信じ切るポジティブさは、大きな武器だ。
今季はジュニア選手ながら、NHK杯に出場。フリーで4回転3本に挑み、総合8位になった。
「転倒とかパンクは無く、全部回すことが出来ました」
ところが優勝確実と思われた全日本ジュニア選手権は、ショートでミスして7位発進。それでも続くフリーで4回転3本のうち2本を成功させて逆転優勝。1本転倒した時に壁に身体を叩きつけられたが「まったく痛くなかった」と笑った。12月の全日本選手権ではさらに冒険をした。フリーで、4回転ループを追加した「4回転4本」の構成にしたのだ。ループは転倒せず、他の3本は成功。総合4位で、北京五輪代表3人の次点につける戦いを見せた。
世界選手権の大舞台直前に肉離れで欠場
今年1月にタリンで行われた四大陸選手権では、フリーの前日に足を肉離れするアクシデントがありながらも、気迫で滑って銅メダルを獲得。記者会見の冒頭では“I love Tallinn”と英語で挨拶し、世界へ羽ばたこうという気概を示した。
勢いづいた三浦に、世界選手権へのチャンスが回ってきたのは3月1日。羽生結弦の欠場により繰り上がりが決定した。
「世界の舞台で、日本にこんな選手もいるのを見せたい」
しかし同月16日の練習中に肉離れを負い、欠場することに。全治2~3カ月の診断だが、4月の世界ジュニア選手権は諦めないという。
ただ、ネイサン・チェン(米国)も同じようなことがあった。'16年の全米選手権で3位になり、世界ジュニア選手権と世界選手権の代表に選ばれたものの、骨折して欠場。その後、こう話している。
「あの時のリハビリで学んだことが、複数の4回転を跳ぶようになってからの身体のケアに生きた」
三浦も、すべての出来事をプラスに変えていける選手。この怪我も“七転び”のひとつとして、次なる飛躍の糧にしていくことだろう。
Sports Graphic Number 1048
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