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川辺駿26歳が語る“プレミア移籍”の真相「実は練習参加の前から…」森保ジャパン4-3-3にハマる新戦力候補《今季スイス1部で6ゴール》
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飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byfreshfocus/AFLO
posted2022/04/01 11:04
![川辺駿26歳が語る“プレミア移籍”の真相「実は練習参加の前から…」森保ジャパン4-3-3にハマる新戦力候補《今季スイス1部で6ゴール》<Number Web> photograph by freshfocus/AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/9/700/img_1919f6fbfe55a08cce0742c5442296a8177099.jpg)
昨年夏に加入したグラスホッパー(スイス1部)での活躍が認められ、1月にプレミアリーグのウルブスへの移籍を発表したMF川辺駿。今季の残りはスイスでのプレーを選択した
少しずつチームとスイスのサッカーに慣れ、試合経験を積む川辺に待望の瞬間が訪れたのは、10月31日のリーグ12節・シオン戦のことである。
前半32分、右サイドからゴール前にクロスが放り込まれた。そこに飛び込んできたのが、川辺だった。相手DFの前に体を滑り込ませると、そのまま頭でボールをとらえた。
長い距離を走り、決定的な場面に飛び出していく――川辺が目指すボックス・トゥ・ボックス(自陣のペナルティエリアから敵陣のペナルティエリアまで、攻守両面で活躍する)のプレーが体現されたゴールだった。
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直後、川辺は大きく飛び上がり、体の底から湧き上がる歓喜を右手に込めて力強く振った。
「初ゴールがヘディングとは思わなかったですけど(苦笑)、あのゴールでそれまでの苦労が報われましたね」
ゴールという結果をひとつ残したことで、プレッシャーから解き放たれたのか。あるいは、チームメイトからの信頼が増して、より一層チャンスに恵まれるようになったのか。
ここから川辺のゴールラッシュが始まった。
11月21日の14節・セルヴェット戦では、ゴール正面でパスを受けると、強烈なミドルを突き刺した。
12月5日の16節・ザンクト・ガレン戦ではロングカウンターから長距離を走り、最後に左足で叩き込む。
さらに12月19日の18節・バーゼル戦では、味方のヘディングでのフリックパスに反応してボレーシュート――2試合に1得点のペースで4ゴール目をマークするのだ。
ジュビロ時代から準備してきた語学
それにしても、3カ月間の苦労があったにせよ、これだけ早くチームに馴染むことができたのは、なぜか――。
要因のひとつが自身の語学力である。
海外でプレーすることは、川辺にとって子どもの頃からの夢だった。その夢が現実味を帯びてきたのがU-19日本代表としてU-19アジア選手権を戦った頃のことだ。
「海外の選手と対戦することが増えてから、より海外でプレーしたいという思いが強くなりましたね」
膨れ上がる海外への思いが、川辺を英会話の勉強に向かわせた。
プロ3年目のときに出場機会を求めて期限付き移籍したジュビロ磐田時代に、マンツーマンの授業を受け始め、広島に復帰してからも勉強を再開した。
「日本にいると勉強を続けるのが難しいじゃないですか。だから、熱が冷めたり、またやり始めたりという感じだったので拙いんですけど。やっておいて良かったなって思う場面はかなりあります。チームメイトとも最低限のコミュニケーションが取れますから」
さらなる要因として、チームメイトの存在が挙げられる。
「周りの選手がすごく優しくて、食事のときとかロッカールームで話しかけてくれるんです。自分もオープンに行けたので、思っていた以上に早くチームの輪に入れました。それに練習からみんなゴールにこだわるんですよね。5対5の練習でも、ゴールが入ると称え合う雰囲気がある。だから、僕も自然と得点やアシストを意識するようになったし、結果を出してチームに貢献したいという思いが強くなったというか」
むろん、川辺の攻守両面における安定したプレースタイルも、コンスタントに起用されている大きな要因だ。
「トップ下やボランチで出場していて。トップ下のときはゴールやアシストを意識していますけど、ボランチの場合は穴を作らないというか。ちゃんとボールを奪い取れているからこそ、使い続けてもらっているんだと思います」