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川辺駿26歳が語る“プレミア移籍”の真相「実は練習参加の前から…」森保ジャパン4-3-3にハマる新戦力候補《今季スイス1部で6ゴール》
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byfreshfocus/AFLO
posted2022/04/01 11:04
昨年夏に加入したグラスホッパー(スイス1部)での活躍が認められ、1月にプレミアリーグのウルブスへの移籍を発表したMF川辺駿。今季の残りはスイスでのプレーを選択した
焦らない姿勢は、日本代表にも通じる。
21年3月、25歳にして代表に初選出された川辺は「時間がかかりましたけど、自分にとってはベストのタイミングだったと思っています」と答えている。
だから川辺は、焦らず虎視眈々と狙っている。再びサムライブルーのジャージーを身にまとうことを。11月下旬にカタールで開幕するW杯でプレーすることを。
「代表の試合は見ています。最終予選は純粋に応援していました。もちろん、自分もあのピッチに立ちたいという気持ちが強いですけれど、そのためにはこっちで1日1日を大事にして成長することがすべて。今選ばれている選手たちに追いつき、追い越せるように、まだまだやっていかないといけないと思っています」
日本代表は今、4-3-3のシステムを採用している。攻守両面で貢献でき、インテンシティの高い川辺はインサイドハーフに打ってつけの選手だろう。
DF瀬古の加入が嬉しかった理由
この冬、グラスホッパーはセレッソ大阪から21歳のDF瀬古歩夢を獲得した。
川辺にとって、日本人の後輩ができるのは喜ばしいことだったが、それ以上に嬉しく思う理由があった。
「もし、自分が活躍できなかったり、しっかりコミュニケーションを取ってチームの輪に入れていなかったら、もうひとり日本人選手を獲ろう、という決断にはならなかったと思うんです。そういう意味でも、やってきたことを認めてもらえたんだなって」
25歳での代表初選出、26歳直前での海外移籍は、遅咲きかもしれない。しかし、川辺の歩みには、日本人選手がヨーロッパでキャリアを積み上げていくためのヒントが隠されている。
むろん、グラスホッパーでも、ウルブスでも、レギュラーポジションや選手としての成功が約束されているわけではない。この先、さらなる困難が待ち受けているかもしれない。
それでも川辺は自分にできることに一つひとつ取り組むだろう。一歩ずつ着実に積み重ねることでしか、壁を乗り越えられないと知っているから。
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