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《ライバル大阪桐蔭が優勝》金光大阪の“助っ人コーチ”、元中日“最多勝2回”右腕・吉見一起は甲子園をどう見た?「夏はその差が縮まっている」 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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posted2022/04/01 06:00

《ライバル大阪桐蔭が優勝》金光大阪の“助っ人コーチ”、元中日“最多勝2回”右腕・吉見一起は甲子園をどう見た?「夏はその差が縮まっている」<Number Web> photograph by KYODO

初のベスト8に進出した金光大阪。同校の「臨時コーチ」で元中日・吉見一起さんが語るチームの成長、大阪桐蔭の強さとは

 その年の夏に全国制覇する明徳義塾に4対7で敗退。スクイズなど7犠打で主導権を握られ、中盤以降は集中打を浴びた。好投手を相手にしたとき、こうやって攻略するんだという見本のような野球をやられ、気がつけば試合終了のサイレンが鳴っていた。それが甲子園。魅力も怖さも味わっただけに、後輩たちの勝利がうれしかった。

 指導に赴けば、打撃投手役も買って出る。元プロ、それも一流の球を野手に見せ、古川ら投手陣には体験と理論に基づいた指導をしてきた。通算90勝で最多勝2度、最優秀防御率、最優秀投手も各1度。それ以上にわずか56敗と「勝てる投手」の代表格だった吉見さんが後輩に伝えたメソッドがある。

選手に伝えた「キャッチボールの大切さ」

「しつこいくらいに言ってきたのがキャッチボールの大切さです。その意味をわかっていない投手は、プロにもいっぱいいます。選手たちに伝えたのはキャッチボールの意識ひとつで未来は変わると。キャッチボールがあって、ピッチングがあって、試合がある。そこをおろそかにして、試合だけ何とかしようなんて論外です」

 キャッチボールはただのウォーミングアップではない。ドラゴンズの投手陣では代々、そう教わる。そこで再現性を高めることを意識せずに、ブルペンや試合のマウンドでできるはずがない。吉見メソッドの第1条は、古川たちの心に響いたようだ。

 吉見さんは現エースのことを「球は速くなくても品がある。僕が教えるより前に、いいピッチャーでしたよ」と言う。甲子園でも猛威をふるった決め球はスライダー。そこにも吉見流のスパイスをふりかけた。

【次ページ】 「(大阪桐蔭と)夏はその差が縮まっている」

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