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《ライバル大阪桐蔭が優勝》金光大阪の“助っ人コーチ”、元中日“最多勝2回”右腕・吉見一起は甲子園をどう見た?「夏はその差が縮まっている」
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKYODO
posted2022/04/01 06:00
初のベスト8に進出した金光大阪。同校の「臨時コーチ」で元中日・吉見一起さんが語るチームの成長、大阪桐蔭の強さとは
「右打者の外、左の内にしか投げられなかったんですが、バックドアを投げてみたらって言ったんです。プロでもそれを待って打つ人は見たことがない。外からも上からも入れられるんだよって。最初は難しそうにしていましたが、2、3週間して指導にいったらできるようになっていました。今回も甲子園で三振を取れたんですよ!」
左打者のボールゾーンから曲がり、外角に決まるスライダー。感覚さえ覚えてしまえば、カウントも取れるし、見逃し三振も取れた。投球の幅が一気に広がったのだ。
「(大阪桐蔭と)夏はその差が縮まっている」
金光大阪ナインは、甲子園2勝という大きな自信を得た。しかし夏に戻ってこようと思ったら、大阪桐蔭を倒さねばならない。
「僕たちの代では春の府大会で桐蔭に負けました。西岡剛たちが同学年です。夏は勝ったら次が桐蔭っていうところで負けたんです。誰が見たって、簡単に倒せる相手ではありません。でも、いつもそうなんですが秋には圧倒的な差がついているのに、夏はその差が縮まっているんです」
昨年の秋は府大会の決勝で0対7と完敗。しかし、前チームの同年夏は3対5。8回に逆転されるまではリードしていた。根尾昂や藤原恭大を擁し、春夏連覇した2018年夏も1対2と最強軍団を追い詰めた。中田翔がエースで4番だった2007年夏は決勝で倒し、2019年夏もタイブレークの末に撃破。ここ15年間、夏に限れば2勝4敗と決して一方的に負けているわけではない。
「甲子園で勝てたことを自信にして、得たものは何か、どういったことが全国大会で通用したのかを考えて。スタンドで観戦して実感したんですが、ファンの声援は一番じゃないかってくらい大きかった。注目される中で結果を出したんだから、自分たちを信じてやりきってもらいたいですね」
夏まで3カ月あまり。打倒・大阪桐蔭に向けて、吉見メソッドがさらに熱を帯びそうだ。
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