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《ライバル大阪桐蔭が優勝》金光大阪の“助っ人コーチ”、元中日“最多勝2回”右腕・吉見一起は甲子園をどう見た?「夏はその差が縮まっている」
posted2022/04/01 06:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
KYODO
今回の選抜高校野球も、近畿勢の強さが際立っている。出場した7校のうち、4校がベスト8に進出。準々決勝で惜しくも敗れたが、高校野球ファンに強く印象づけるピッチングを披露したのが、金光大阪の古川温生投手(はるき、3年)だ。
小柄なエース、飛躍のウラに“最多勝右腕”の教え
身長170センチと小柄で、スピードも140キロ台前半と、昨今の高校球児では当たり前の「大型」や「剛速球」タイプではない。しかし、1回戦の日大三島を被安打4、9奪三振で完封。続く2回戦の木更津総合戦はタイブレークにもつれ込む熱戦となったが、13イニングをわずか5安打に封じ、10奪三振、3失点(タイブレークでの2点を含む)に抑え、逆転サヨナラ勝ちに大きく貢献した。
昨年の秋季近畿大会の再戦となった、近江との準々決勝では、疲労の影響もあり7回途中7安打で4点を失い、降板した。しかし、守備の乱れなど不運な失点が多く、大会を通じた自責点はわずかに1。防御率0.32という素晴らしい成績を残し、甲子園を去った。
金光大阪にとっては春夏合わせて4度目の甲子園で、念願の初勝利。その原動力となったのはエースの古川だが、大舞台で躍動するまでに急成長した陰には、OBで元中日ドラゴンズの吉見一起さんによる指導がある。現役引退した直後に、指導資格を回復。昨年6月に「外部(臨時)コーチ」に就任し、月に1~3度のペースで指導に訪れている。
「選手たちは甲子園という舞台で2勝もできてものすごい自信になったと思います。僕自身もOBとして(木更津総合戦を)アルプススタンドで見ることができたし、本当に幸せでした。ましてや顔や名前もわかる後輩たちですから」
指導では“打撃投手役”も…
横井一裕監督は自らの恩師でもあり、同校が初めて甲子園に出た(2002年春)ときのエースが吉見さんだった。