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3連単278万円超の大波乱に…8番人気ナランフレグはなぜGI高松宮記念で突き抜けたのか? 勝負を分けた“インコースの選択” 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2022/03/28 11:50

3連単278万円超の大波乱に…8番人気ナランフレグはなぜGI高松宮記念で突き抜けたのか? 勝負を分けた“インコースの選択”<Number Web> photograph by Photostud

3月27日の高松宮記念で人馬ともにGI初制覇となったナランフレグと丸田恭介

北海道の進学校に入学…丸田の素顔

 丸田はデビュー4年目の2010年、ダンスインザモアで福島記念を勝ち、重賞初制覇を遂げた。今回の高松宮記念がJRA重賞9勝目(ほかに交流重賞を2勝)。

 通算427勝と、まずまずの勝ち鞍を挙げているのだが、ここ数年は、2019年22勝、20年12勝、21年17勝、そして今年は3勝と、今ひとつ伸び悩んでいた。

 しかし、そのわりに、重賞9勝というのは多いと言える。GI騎乗は今回が12戦目だった。この数字が示すように、少ないチャンスを逃さず、目立つ舞台で存在感を示してきた。非常にクレバーな騎手で、この高松宮記念にしても、インにこだわり、後方からの競馬になっても「いつものことなので、馬のリズムだけを考えていました」と、慌てずに追い出すタイミングを計っていた。

 騎手としての頭のよさと学業成績が比例するとは限らないが、彼は、競馬学校を最初に受験したとき不合格となり、北海道旭川東高等学校に進学している。翌年競馬学校に合格して高校を中退したのだが、同校は、道内では知られた進学校で、俳優の品川徹氏、キャスターの金平茂紀氏、著述家の永江朗氏ら、様々な分野で活躍するOBが輩出している。

 この勝利をきっかけに、さらなる飛躍が望めるだろう。

ダートも経験、これまでのスプリント王とは異質だった

 ナランフレグは、種牡馬として、エスポワールシチー、コパノリッキー、ゴールドドリーム、クリソベリルなど、数々のダートGI馬を送り出しているゴールドアリュールの産駒として初めての芝のGIホースとなった。

 ナランフレグはダートで新馬勝ちしたのち芝の短距離路線に転向し、ここまで力をつけてきた。ゴールドアリュールも、芝で新馬勝ちし、日本ダービーで5着になったのちダート路線に転向し、ダートGI・JpnIを4勝した「二刀流」であった。

 スピードだけではなく、パワーも求められる今回の馬場コンディションは、こうした血統背景を持つナランフレグにうってつけだったことがわかる。

 これまでのスプリント王とはタイプが異なるだけに、今後、またダートの短距離路線に参戦しても面白いのではないか――など、新たな楽しみもひろがる。

 日本時間の3月26日夜から27日未明にかけてUAE・ドバイのメイダン競馬場で開催されたドバイワールドカップデー諸競走では、日本馬が過去最高の5勝という素晴らしい成績をおさめた。シャフリヤールがドバイシーマクラシックで日本ダービー馬として初の海外GI制覇を果たし、パンサラッサがドバイターフでGI初制覇、そして、開業3年目の新谷功一調教師がUAEダービーで重賞初勝利をなし遂げるなど、嬉しいニュースが届けられた。

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