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パンサラッサが呼び起こした超個性派ツインターボの鮮やかな記憶…“劇場型”大逃げ馬がファンを唖然とさせた「伝説のオールカマー」

posted2022/03/26 11:02

 
パンサラッサが呼び起こした超個性派ツインターボの鮮やかな記憶…“劇場型”大逃げ馬がファンを唖然とさせた「伝説のオールカマー」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

1993年のオールカマーで、舌を出しながら第4コーナーを爆走するツインターボ。後続を完全に置き去りにする衝撃的な大逃げだった

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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 今週末、日本時間3月27日(日)午前0時20分発走のドバイターフ(メイダン芝1800m、北半球産4歳以上、南半球産3歳以上GI)に、前走の中山記念を鮮やかに逃げ切ったパンサラッサ(牡5歳、父ロードカナロア、栗東・矢作芳人厩舎)が出走する。

 パンサラッサは、2019年秋、デビュー3戦目の未勝利戦で2番手から抜け出し初勝利をマーク。その後しばらく勝ち鞍から遠ざかるも、3歳時、2020年6月の1勝クラスを逃げ切って2勝目を挙げた。それからまた勝ち切れないレースがつづいたが、4歳時の2021年10月、吉田豊を背にオクトーバーステークスを逃げ切り「覚醒」する。次走、菱田裕二が騎乗した福島記念では、前半1000mを57秒3という超ハイペースで逃げ、2着を4馬身突き放して重賞初制覇。つづく有馬記念は距離が長すぎたのか13着と大敗するも、前述したように2月27日の中山記念で重賞2勝目を挙げ、世界に挑むことになった。

 その中山記念では福島記念同様、前半1000m通過が57秒6という淀みのないペースで逃げて後続に脚を使わせた。そして終盤、他の先行馬が総崩れになるなか自分だけが伸びて、2着を2馬身半切って捨てた。

 ハイペースで逃げて後続を消耗させ、福島と中山で圧勝した姿は、競馬ブームがピークを迎えた1990年代初めからなかごろにかけてターフを沸かせた、一頭の超個性派を彷彿させた。

ツインターボはデビュー当初からとにかく逃げまくった

 その超個性派とは、場内をどよめかせるほどの大逃げで重賞を3勝した快速馬、ツインターボ(牡、1988-1998、父ライラリッジ、美浦・笹倉武久厩舎)である。

 ツインターボは1988年4月13日、北海道旧静内町(現・新ひだか町)の福岡敏宏氏によって生産された。馬主は黒岩晴男氏。

 父ライラリッジはアメリカで競走生活を送り、1986年に種牡馬として輸入された。JRA重賞を勝った産駒はこのツインターボのみ。

 母はレーシングジイーン、母の父はサンシー。サンシーの産駒には1980年の桜花賞馬ハギノトップレディ、1991年の日経賞を勝ったキリサンシーなどがおり、母の父としてはツインターボのほかに1991年の安田記念、スプリンターズステークスを制したダイイチルビーなどの活躍馬を送り出している。

 ツインターボは旧4歳時の91年3月2日、中山ダート1800mの新馬戦を逃げ切り、中2週で臨んだ中山芝2000mのもくれん賞も逃げ切った。その勢いで、当時ダービー指定オープンだった青葉賞でも逃げたが9着。トウカイテイオーが制したダービーと同じ日に行われた駒草賞でも逃げ、勝ち馬からコンマ4秒差の5着。

 次走は福島芝1800mのラジオたんぱ賞。青葉賞でも騎乗した大崎昭一の手綱でここを逃げ切り、重賞初制覇を遂げる。

【次ページ】 後続を潰した七夕賞、「1000m通過57秒4」の衝撃

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