バレーボールPRESSBACK NUMBER

“最高の相棒”藤井直伸(30)が胃がんステージ4を公表「聞いた時は、自分は固まってしまった。でも…」東レ・李博に響いた言葉とは 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

PROFILE

photograph byTORAY ARROWS

posted2022/03/08 11:02

“最高の相棒”藤井直伸(30)が胃がんステージ4を公表「聞いた時は、自分は固まってしまった。でも…」東レ・李博に響いた言葉とは<Number Web> photograph by TORAY ARROWS

サブに回る機会が増えたが、チームを懸命に鼓舞する李博(15番)。「ともに頑張っている」ことを伝えるために坊主頭でコートに立った

 藤井がコートを離れてから、李の出場機会は減った。

 篠田監督は「李は、藤井とのコンビは最高級ですけど、ずっと代表に行っていた分チームにいる時間が少なかった。今季のリーグの前半戦もずっと藤井とAチームでやっていて、真子とコンビを合わせる時間がなかったので」と言う。

 李と藤井は昨年、9月のアジア選手権まで代表で戦い、東レに合流したのはリーグ開幕直前だった。今は、Bチームでずっと真子と練習していた1年目のミドルブロッカー西本圭吾が先発起用され、息の合ったコンビを見せている。

 李と藤井にしかわからない“あうんの呼吸”があるゆえに、他のセッターとの信頼関係を築くのは少々時間がかかるのかもしれない。

 それでも李は、今できることを懸命にやろうとしている。セッター真子や酒井啓輔とコンビを合わせる努力はもちろん、試合中は、タイムアウトになると真っ先にベンチを出て笑顔で選手を迎え、西本や高橋の肩をたたきながらアドバイスを送る。少しでも劣勢になると、サッとベンチコートを脱いでアップゾーンでジャンプを繰り返す。

「自分もまた成長しながら、藤井を待ちたいなと思っています」と前を向く。

 無二の相棒がコートに帰ってくる時を、李は心待ちにしている。

 みんなが、藤井を待っている。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

関連記事

BACK 1 2 3 4
東レアローズ
藤井直伸
李博
高橋健太郎
清水邦広
深津英臣

バレーボールの前後の記事

ページトップ