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廃部報道に「選手はみなショックを受けました」ラグビーW杯躍進にも貢献した宗像サニックスブルースとはどんなチームだったのか 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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posted2022/02/25 11:02

廃部報道に「選手はみなショックを受けました」ラグビーW杯躍進にも貢献した宗像サニックスブルースとはどんなチームだったのか<Number Web> photograph by JRLO

廃部の可能性を報じられた宗像サニックスブルース。昨季限りで廃部したコカ・コーラレッドスパークスに続き、またしても九州のチームが岐路に立たされた

 もうひとつ、これを機に九州連合軍の可能性も考えてみたい。

 ラグビー界では複数のクラブから集まった選手が即席クラブ「バーバリアンズ」を結成することがよくある。これに倣い「九州バーバリアンズ」とも呼ぶべきオール九州のチームを作れないだろうか。

 九州からは一時、14チームで構成されるトップリーグに3チームがひしめいていた。3つのチームはそれぞれ40~50人の選手を抱え、それぞれが日本一を目指していた。だが時が過ぎた。仮にサニックスが解散したなら九州勢で唯一リーグワンに残ることになるディビジョン3の九州電力キューデンヴォルテクスは半官半民の電力会社のチームだ。オーナー企業のサニックスのようなフットワークはない。

 だがそれはむしろ好材料ではないか。公益企業である以上「ひとり勝ち」は憚られる。自社の宣伝のためにスポーツ選手を多く雇用するのは理解を得にくい。だが公益企業であれば地域を元気づけるのも重要な使命のはず。そのためにラグビーチームという自社の持つ資産を地域に提供し、社外からも多くの選手を迎え、地域に元気をもたらすことは理にかなったストーリーではないか。

 ラグビーは大人数が必要なスポーツだ。リーグワンの上位チームはどこも50人前後の選手を抱えている。1社でそれだけの選手を抱えるには相当の企業体力と覚悟が必要だが(それが地方のチームが衰退している理由でもある)、クラブチームに数人の選手を送り込むくらいなら手を挙げる企業はあるはず。五輪種目などではアスリート採用した社員をフルタイムで競技に専念させている例も多い。

九州で育まれてきたラグビーの土壌

 そして九州には豊かなラグビーの土壌がある。

 世界8強入りした19年W杯の日本代表に福岡県出身のWTB福岡堅樹、SH流大、鹿児島県出身のCTB中村亮土が名を連ねた。進学校として名高い福岡高からはその福岡や、古くは新日鐵釜石で活躍した日本ラグビー協会の森重隆会長、小倉高からは15年W杯代表のWTB山田章仁、八幡高からはW杯2大会で日本代表主将を務めたNo.8箕内拓郎が巣立った。男子だけでなく女子も筑紫高OGの南早紀が15人制日本代表主将を務め、7人制では東京五輪代表を堤ほの花、永田花菜、黒木理帆、梶木真凜と4名も送り出した。

 だが、現状では彼ら彼女らの多くはより高いレベルでのプレーを求め、関東や関西の有力大学に進学する。そして九州にトップチームがなくなれば、彼らがUターンする選択肢もなくなる。逆に言えば、トップを目指すチームが存在すれば、彼らが九州へ戻る可能性が増える。そんな機会を提供するのは、公益企業がなすべき社会貢献のはずだ。

 地元が生んだ文武両道の若きリーダーが戻ってきて、地域のスポーツチームで活躍すれば地域は盛り上がる。そのために官も民も結束して汗をかくのは当然じゃないか。この大義があり、適切な営業マンがいれば、公益企業では表だって動けなかった新規スポンサー獲得だってできるはずだ……。

【次ページ】 新しい動きが始まるチャンスなのでは?

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