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母国で牧場経営していた40歳トンプソン ルークはなぜ再び日本でラグビーを?「もう一度プレーしませんか?」GMが明かす交渉の裏側
posted2022/03/02 11:00
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Shiningarcs
衝撃の現役復帰だ。ラグビー日本代表としてW杯4大会に出場した40歳。「トモさん」の愛称で親しまれるトンプソン ルークが、ついに2022年1月開幕のNTTリーグワンにデビューした。NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安の一員として、第7節の後半27分に途中出場し、泥臭いプレーに徹した。
40歳がスクラムを押し、ラックに身体を激しくねじ込んでいた。逆転トライに繋がる一連のプレーではオフロードパスまで繰り出して、22-21の劇的勝利に貢献した。
「ひさびさの公式戦でした。シャイニングアークスの仲間とフィールドに出られることが楽しかったです」
“引退ラストマッチ”には1万4599人
前回の公式戦は、2020年1月の“引退試合”だった。
04年入団の三洋電機(現埼玉ワイルドナイツ)を経て、06年から14季在籍した近鉄での公式戦ラストマッチには1万4599人が集結。大量リードの後半にはキッカーとしてトライ後のキックを決め、喝采を浴びていた。
リスペクトを集める鉄人は20年、慣れ親しんだ近鉄の本拠地・東大阪を離れ、家族と共に母国ニュージーランドに戻った。念願の牧場経営に専念し、主にツノが漢方薬の原料となるシカを育てながら、妻ネリッサさん、3人の子どもと暮らした。
「(ニュージーランドの)家は動物園状態。ヒツジやシカ、ウシなどがいますが、子供たちを追い回すのが一番大変なときもあります(笑)」
事態が動いたのは21年の夏だ。
千葉県浦安市に拠点を置くシャイニングアークス東京ベイ浦安の内山浩文GMは、リーグワンの初年度へ向けて、穴埋め補強を模索していた。その中である噂を聞いた。