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ロングセラー「プロ野球選手名鑑」の舞台ウラ…昔は住所&タバコ量も記載、“特技・乳しぼり”のドラ1は「子供もいるので勘弁してください」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byMakoto Okano
posted2022/02/15 11:01
野球ファンのバイブル『プロ野球選手名鑑』。なかでも随一の情報量を誇る日刊スポーツ新聞社の3名に、名鑑制作のウラ側を聞いた
巨人では、食生活にもストイックな印象の強い桑田真澄が「アイスクリームまとめ食い。10個は軽い」(86~87年)と読んでいるだけで腹痛に襲われそうなエピソードが綴られている。ピンチでも表情を変えずに“鉄仮面”と呼ばれた加藤初は「夫人にゴマをすること」(83年)と愛称からは想像できない恐妻家ぶりを感じ取らせた。練習の虫で自分を追い込む西本聖は「口でオナラの音を出す」(84~85年)といつ披露するのか不明な技が記載されていた。
「不動産研究」「電車の中で寝ながら立つ」…名鑑の“栄光時代”
ロッテでは、野球以外に興味なさそうな村田兆治が「不動産研究」と財テクに精を出していると判明。まだ一軍登板のない田子譲治が「大ブロシキを広げること」とイジりのような叱咤激励をされ、右のアンダースロー仁科時成は「電車の中で寝ながら立つ」とスリに狙われそうな情報が盛り込まれていた。野球部部長の鳥谷越直子氏が話す。
「年間を通して取材する中で、ポロッと出てきた話を詰め込んだのだと思います。特にロッテの場合、当時はキャンプの宿舎が選手と同じで、一緒にお風呂に入って背中を流すなど距離が近かったので沢山の情報を得られたようです」
原辰徳の“タバコ本数”がチーム成績にリンク!?
巨人・原辰徳の酒量、タバコ本数の変遷を見ると、担当記者の綿密な取材が窺える。84年は『ビール5本』と『タバコ10本』だった。しかし、同年に優勝を逃した影響か、85年は『その気になればボトル1本は軽い』と飲む量が増え、『禁煙中』に変わった。この年は猛虎フィーバーが巻き起こり、巨人は2年連続のV逸。86年はさらに酒量が増えた模様で『ボトル1本は軽い』と言い切るようになった。一方で、タバコは『吸わない』ままだった。それでも、3厘差で広島に優勝をさらわれると、禁煙を逆効果と感じたのか、87年は『タバコ10本』と愛煙家に復帰。すると、4年ぶりの優勝を果たし、88年は『タバコ20本』と倍増させている。原の現役晩年、巨人番を務めた沢田氏が話す。