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ルーキー初キャンプからスゴかった「4人の打者」立浪和義、松井秀喜、高橋由伸…“もう1人の男”が今季巨人のカギを握る?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2022/02/12 11:02
1993年2月1日、初めてのキャンプに臨むルーキーの松井秀喜
大谷翔平の1年目はどうだった?
一方、日本ハムに入団したロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手の1年目、沖縄・かいぎんスタジアム国頭(当時はくにがみ球場)で観たフリー打撃も、逆方向への打球は確かに伸びていた。ただこのときは引っ張った打球がほとんど詰まり気味で打者・大谷にあまりピンとこなかったのが正直な感想だった。何よりブルペンでの投球練習のボールに目を剥き、そればかりが印象に残った。「やっぱり投手で勝負か」と思って練習から帰ってきた。あの左中間の打球にもっと注目できていれば、最初から打者としての見る目も違ったものだったと思うのだが、いま思えば自分の見る目のなさを反省するばかりである。
そんな様々な選手のプロ入り1年目のキャンプのフリー打撃を観てきた中で、もう1人、唸らされたバッターがいる。
中田翔の打球を見て驚いたこと
大阪桐蔭高校からドラフト1位で日本ハムに入団したときの中田翔内野手だった。
高校通算87本塁打、甲子園大会でも4本塁打を放った中田の最初の名護キャンプ。驚かされたのは打球の質だった。
「ホームランが打ちたい」そんな思いが詰まったように、フルスイングでガンガンと振りまくった打撃練習だった。左方向がほとんどで左中間の深いところへの打球が伸びていく。そして特筆すべきは左翼のポール際への打球だった。
打球が切れないのだ。
右打者が飛ばそうとしてフルスイングすると、ポール際に伸びていった打球は、いわゆるフック回転がかかって普通ならファウルゾーンへと逃げていってしまう。
ところが中田の打球は、プルヒットしても真っ直ぐ伸びて、切れていかないのだ。高校時代には少しドアスイング気味にバットが外側から回る感じがするのが気になったが、実際にはバットの面をうまく使って押し込んでいた。