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「おい、中途半端やぞ!」球場に響く“熱男”の声…昨季4位ソフトバンクは本当に変われるのか?《藤本監督&松田が若手に苦言》
posted2022/02/14 11:01
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kotaro Tajiri
ホークスの宮崎キャンプは第3クールに入って、ようやく“役者”が揃ってきた。
1月の自主トレ期間中に新型コロナ陽性判定を受けた影響から筑後C組でキャンプスタートしていた松田宣浩内野手や柳田悠岐外野手ら5名と、1月28日にキューバから再来日して入国者待機期間中に落ちた体力を戻すために同じくC組で調整していたジュリスベル・グラシアル内野手が、第3クール初日の2月10日より宮崎キャンプ本隊に合流した。
藤本博史監督が「やっぱり彼らが居ると締まってくるよね」と話したように、チームの雰囲気が明らかに一変した。
ひときわ目立つ“熱男”の存在
なかでも内野の連係練習は活気に満ち溢れていた。
やはり“熱男”こと松田の存在は大きかった。
「今年で17年目、(5月の誕生日で)39歳になるけど、その取り柄でまだまだ負けることはない。みんなが静かな時に声を出すのも自信があるし、ホームランを打った後の『熱男』もね。そういうのは継続していきたいと思う」
この日は午前中に、牽制・重盗の練習メニューが組まれていた。藤本監督が就任して以来、この練習がちょっと興味深いやり方になっている。
重盗といえば、走者一、三塁のケースで一塁走者が二進する際に、送球の隙をついて三塁走者が本塁を狙うというのが一般的だ。しかし、藤本監督は少しアレンジを加えた戦法をチームに提案している。走者一、三塁で、投手が一塁牽制をする際の隙をついて三塁走者が本塁を陥れるというものだ。これは昨秋のキャンプでも練習しており、本多雄一一軍内野守備走塁コーチも「自分が現役時代にはやっていなかった練習です」と話していた。
緩慢プレーに「おい、中途半端やぞ!」
プロといえども不慣れな戦術だから、練習においてはミスも出る。走者の動きが緩慢だった時は、松田から「おい、中途半端やぞ!」と大きな声が飛ぶ。走者を追い込んでの挟殺プレーでは、大きなアクションでボールを要求してランナーにもプレッシャーをかける。所作の一つひとつがきびきびしているし、メリハリもあって、率直に見ていて気持ちがいい。球場スタンドの上段から眺めていても、松田の居場所はすぐに分かる。これがスターの証なのだと、その偉大さに改めて気づかされた。
ただ、同時に寂しい思いもある。