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ルーキー初キャンプからスゴかった「4人の打者」立浪和義、松井秀喜、高橋由伸…“もう1人の男”が今季巨人のカギを握る?
posted2022/02/12 11:02
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
何人ものルーキーたちの初キャンプを観てきた。
古くは立浪和義現中日監督の1年目のキャンプ。鋭いライナー性の打球を連発して、高校を出たばかりとは思えないコンタクト能力の高さに驚嘆し、何よりノックでのPL学園高校仕込みの鍛え上げられたフットワークの良さとグラブさばきの巧さに目を見張るものがあった。
星稜高校から巨人に入った松井秀喜さんの1年目、キャンプ初日のフリー打撃は圧巻だった。
当時は現在二軍が使用しているひむか&スタジアム(当時は宮崎市営球場)での一軍キャンプ。初日のフリー打撃が始まると、スコアボード直撃弾など凄まじい打球を連発し、その飛距離に驚かされた。そしてもう1つ「この選手はすごい!」と思ったのが、高卒ルーキーのキャンプ初日のフリー打撃というのに、絶対にボール球に手を出さなかったことだ。
高橋由伸のフリー打撃は華麗だった
まだまだ全然慣れないプロのキャンプで、ともすると気が急いて多少のボール球でも強引にうちに行ってしまう選手がほとんどだ。ところが松井さんは、際どいボールもしっかりと見送って、練習でもきちっとボールをセレクトして飛ばしていた。
当時働いていたスポーツ紙で「ノーコンの打撃投手にもめげずにじっくりストライクだけを打った」と描写して、球団関係者に「バッティング投手の生活も考えろ」と怒られた記憶がある。それくらいにボール球には手を出さないことが高卒1年目から徹底されていた訳である。
1998年の高橋由伸さんのフリー打撃は華麗だった。飛距離も出るし、逆方向への打球も伸びる。高橋さんの場合は大卒(慶應義塾大学)で、ある程度、完成度も高かったということもあったと思うが、とにかく打ち損じがほとんどない。そのコンタクト能力の高さに感心させられた。