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「藤井聡太竜王はお笑いで言うと、19歳でM-1とR-1などを一気に…」 サバンナ高橋茂雄の〈観る将〉は棋士も絶賛するガチっぷり
posted2022/01/21 06:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Yuki Suenaga/日本将棋連盟
藤井聡太竜王が巻き起こした将棋フィーバーで、明らかにファンの裾野は広がった。それを象徴する言葉は「観る将」だ。
念のため、「初めて『観る将』って単語を聞いたんだけど」という人にご説明すると……自分で将棋を指すことはほぼないものの、観戦やイベント参加などを楽しむファンのこと(こんなこと書いている自分もその末席にいさせてもらってます)。
考えてみれば野球やサッカー、ラグビーなどで「自分はプレー経験ないけど、観戦するのは大好き!」というスポーツ愛好者はいっぱいいるのだから、将棋だって何かのきっかけさえあれば、そういったファン層が広がってもおかしくはなかった。
その空気感はここ10年、ネット中継のおかげでジワジワと広がっていたが、藤井将棋のおかげで「観る将」ブームは大きく花開いた。最近ではネット上は棋士への想いをイラストで表現する「描く将」、そして色々なコラムや記事を楽しむ「読む将」なんて派生もあるという。さらにはネットやリアルの場でも将棋愛を発信する著名人も増えている。
“藤井竜王の名勝負”として挙げた一局は?
その「観る将」界隈において、急激に存在感を高めているのが『サバンナ』の高橋茂雄さん。今回の『Number』将棋特集で「お笑い芸人視点から見た王者・藤井」について語ってもらうことになった。
高橋さんが印象に残る“藤井名勝負”として挙げたのは、2021年3月23日の竜王戦2組ランキング戦準決勝だ。
「松尾(歩)先生と藤井先生の対局で、藤井先生が指された4一銀。あれはやっぱり観ててメチャクチャ面白かったですね。その手の前に、解説されていた及川(拓馬)先生と藤森(哲也)先生が『人間から見て4一銀という最善手は指せない』『もし指したらスーパーサイヤ人ですよ』という話をしてくれてから、藤井先生の手が駒台へと伸びた。ネタふりとして及川さんと藤森さんの功績も称えられてほしいですね」
ここまで対局と中継内容を鮮明に覚えているほど、夢中になっているのだ。
その奥深い世界に魅了され始めたのは2020年。藤井聡太七段(当時)が棋聖、王位と立て続けにタイトル奪取し、史上最年少二冠達成という快挙がワイドショーなどをにぎわせた頃だ。そこを入り口に高橋さんは対局中継を観始め、どっぷりとハマったという。