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草野球の聖地「外苑」に異変あり! 草野球人のもとへ戻った軟式球場に迫る再開発計画とは《そもそもなぜ聖地?》
posted2022/01/08 06:00
text by
田澤健一郎Kenichiro Tazawa
photograph by
JIJI PHOTO
2021年秋、東京ヤクルトスワローズの本拠地・明治神宮野球場……の隣。「草野球の聖地」とも呼ばれる明治神宮外苑軟式グラウンド、通称「外苑」に野球が戻ってきた。
国立競技場で開催された東京オリンピック・陸上競技のサブトラックにするため、外苑は2019年から使用中止になっていたのである。当初は2020年秋までの予定だったがコロナ禍による延期で1年延長。待ちに待った聖地の「帰還」に愛好家たちは歓喜している。
「都心エリアでこれだけの広さの草野球場は貴重。交通アクセスもいいので平日に朝8時~10時の枠で試合をした後、仕事に行く人もいる。再開後は朝6時~8時からの枠が無くなったので、店がはけた後に試合をする六本木あたりの飲み屋のチームは残念がっているけど」と話すのは外苑草野球歴20年以上のYさん。ちなみに朝6時開始の枠は、要望が多いため復活が検討されているとか。
草野球の聖地の由来
外苑の誕生は1952年。太平洋戦争後、進駐軍に接収されていた明治神宮外苑の中央広場には、アメリカの軍人たちによってソフトボール場など複数のスポーツ施設が作られた。進駐軍が残したこのスポーツ施設を利用して軟式球場を仮設。後に全6面の軟式野球場となった。長方形に近いやや不整形なフィールドにはフェンスのない野球場が6面。それぞれ「コブシ」「大銀杏」「ケヤキ」「ヒマラヤ」「日の丸」「桜」と個性的な球場名がついている。
「コブシや大銀杏は、それぞれグラウンドのそばに植えられている木が名前の由来」と教えてくれたのはYさんの草野球仲間であるFさん。ではヒマラヤと日の丸は?
「えーと……なんだろう? 言われてみれば聞いたことないや(笑)」
そんなユルさも草野球ゆえご容赦を。
さて、外苑には数多ある草野球場と大きく異なる点がある。それは同じ空間でプロ野球選手が練習している点だ。6面ある野球場のうち「コブシ」だけは人工芝。スワローズが使用する室内球技場に接しているため、ホームゲーム時、ここでプロ野球選手たちが練習をするのである。