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〈緊急独占〉北京五輪を逃した高橋&村元組のコーチが明かす“選考方法への本音”…夢は叶わなかったが、2人は進化していく
posted2021/12/28 17:08
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
北京オリンピックの選考会も兼ねていた全日本選手権で、村元哉中と高橋大輔は期待されていた優勝を逃し、2位に終わった。
世界中の関係者から高評価を得ていたリズムダンス「ソーラン節&琴」で、ステップの最中に氷にブレードが引っ掛かり、転倒。今季出場した3試合ではもちろん、練習でもしたことのないミスだったという。
フリー「ラ・バヤデール」ではいくらか緊張したのか、普段より少し動きは硬かったものの、最後まで大きなミスなく滑り切りフリーは1位。だがリズムダンスの4.81の点差を埋めることは叶わず、1.86の点差で小松原組に次いで2位となり北京オリンピックの代表を逃した。
最初に強調したいのは、小松原組は特にフリーで素晴らしい演技を見せたことだ。怪我もあった中、あれほどのプレッシャーがかかる大舞台で最後までミスなく滑り切り、優勝に相応しい演技を見せた。ビザの問題でカナダのコーチと離れたまま、スケート人生を賭けてトレーニングを重ね、実力でタイトルを勝ち取った。そして代表に決まったからには、北京の舞台でベストな演技をして欲しいと心から願っている。
だがここで書いておきたいのは、日本スケート連盟の選考基準に対する疑問である。
アイスダンスの選考基準はフェアだったのか?
優勝すれば自動的にオリンピック代表内定となるシングルと違い、アイスダンスの選考基準は4つあった。
1)全日本最上位組
2)ISU世界ランキング最上位組
3)今季ISU世界ランキング最上位組
4)今季ISU最高得点の最上位組
この4項目から総合的に判断して、北京オリンピックの代表を選考するとされていた。
だが村元と高橋を指導するマリナ・ズエヴァコーチは電話インタビューで、この選考基準が公正さに欠けていた、と指摘する。
「昨シーズンはパンデミックのために、ポイントとなる国際大会は皆無でした(正確には世界選手権のみ)。キャリアの長いもう一つの組の方がISU世界ランキングが高いのは動かしようのない既成事実で、それが選考基準の一つにされたというのはフェアではありません」