オリンピックへの道BACK NUMBER
まさかの全日本選手権欠場、代表落ち…19歳紀平梨花が北京五輪を目指し続けた4年間「フィギュアスケートは私にとって命懸けの存在」
posted2021/12/30 17:09
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
2021年12月23日から26日にかけて行なわれた全日本選手権は終了し、シングル、ペア、アイスダンスすべての北京五輪代表が決まった。
そのリンクに立つことができなかった選手たちもいる。紀平梨花もその1人だった。
大会直前まで出場の可能性を探っていた
開幕を翌々日に控える12月21日、欠場する見通しであることが報じられた。その後も欠場を伝えるニュースが次々に流れ始めた。
だが、正式な欠場はアナウンスされないまま、時が過ぎた。やがて、ぎりぎりまで出場の可能性を探っているという話が伝わり、12月22日の公式練習に参加し、そこで最終判断をする可能性があるという話も出るようになった。欠場はアナウンスされず大会開幕前日の22日を迎え、だが12時45分から紀平が参加する予定だった公式練習を前に、正式に欠場が発表された。
日本スケート連盟を通じ、コメントも発表した。
「この度、7月に発覚していた右足の距骨疲労骨折の回復が遅れ、全日本選手権を欠場することを決めました。
少しでも早く氷上での元気な姿を見て頂けるよう、今は治療に専念することに致します。この様な状況の中、皆様の温かいメッセージは心の支えになっています。本当にありがとうございます。」
このとき、オリンピックの代表に選ばれる可能性もなくなった。全日本選手権出場が必須とされている中、世界選手権で表彰台に上がった実績がある選手は欠場しても考慮される可能性があることが選考基準に定められていたが、紀平は過去最高が4位。欠場は、すなわち五輪代表選考の対象にならなくなることを示していた。最後まで出場する可能性を探っていたのも無理はなかった。
北京五輪“金メダル”を目指してきた4年間
平昌五輪の選考を兼ねた2017年の全日本選手権で3位と表彰台に上がった。オリンピックに参加できる年齢に達していなかったから選考対象外であったし、むろん、紀平本人もそれは分かっていた。それでも全日本選手権で表彰台に上がった経験に「この大きな試合でこれだけできたことは大きな自信になりました」と手ごたえを得つつ、次こそは、という思いを強めただろう。