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核心にシュートを!BACK NUMBER
《二刀流の遠藤航》デュエルに加わったパス能力 主将としても高評価、内田篤人を上回る「ブンデス+代表での数字」とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama/Getty Images
posted2021/12/29 11:09
2021年の遠藤航は出色の出来だった。日本代表でもシュツットガルトでも今や絶対的な中軸だ
他にも、遠藤は走行距離のランキングでも17試合で183キロ、リーグ全体で6位につけている。実はシュツットガルトというチームの走行距離は短く、リーグ18チーム中15位だ。1人あたりの平均が174キロだから、遠藤はチームのなかでも突出していることがわかる。
しかも、ハードな日程のなかでデュエルを繰り返し、長距離を走っている。それも、ドイツでの評価の高さとは無縁ではない。
内田篤人のラウール評にも通ずる、調子の波を作らない凄み
2021年、東京五輪を戦ったU-24日本代表での活動もあったため、この1年間で代表戦と所属クラブの公式戦、計56試合すべてに遠藤は先発で出場した。この10年の日本人で似たような記録となると、2010-11シーズンの1年間でシャルケと代表で計52試合に出場した内田篤人くらいか。
ブンデスリーガにおける先駆者で、現在は解説者を務める内田が、件のシーズンが終ったあと、当時のチームメイトだった、あのラウールを形容するときに語っていた言葉を思い出す。
「調子の波も彼の中ではあると思うよ。『うまくいかない』と思っているときはあるかもしれない。ただ、周りから見ている分にはわからないけど。高いところで安定しているんじゃないのかな、やっぱり」
パフォーマンスがひどい試合をつくらない。調子の波も作らない。実は、そこにもすごみはある。
デュエルを意味する「ツバイカンプフ」という言葉がサッカーに欠かせない用語となっているドイツのトップリーグで、その勝利数1位に輝いた。守備での貢献度の高さは誰もが認めている。
では、今度は攻撃でも、みんなが認めるようなパフォーマンスとクオリティーを――。
遠藤が取り組んでいる“二刀流”は、チームの心臓であるボランチのポジションの本質をきわめる作業なのかもしれない。<南野編に続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。