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核心にシュートを!BACK NUMBER
《二刀流の遠藤航》デュエルに加わったパス能力 主将としても高評価、内田篤人を上回る「ブンデス+代表での数字」とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama/Getty Images
posted2021/12/29 11:09
2021年の遠藤航は出色の出来だった。日本代表でもシュツットガルトでも今や絶対的な中軸だ
「僕が前目のポジションでプレーすることに関しては、監督も、すごくポジティブに考えてくれていて。チーム状況的にも、後ろ(のポジション)は結構いるので。逆に、前線では(新加入選手が)フィットしきれていないし、ケガ人も多いので、自分が点に絡むようなプレーをしていかなければいけないと思っています」
(*今シーズンのシュツットガルトは補強によってディフェンスラインの層は厚くなっている。11月にルーキー・オブ・ザ・マンスに選ばれた伊藤洋輝もその一人だ)
カウンターで前に出る分、攻撃時のリスク管理が課題
もちろん、インサイドハーフとして改善しないといけない点はある。
例えば、遠藤の死角からボールを奪いに来る相手への対応。ドルトムント戦でロイスに奪われた場面などもそうだった。
遠藤は10月から自身の考え方や取り組みを伝えることで日本サッカー界の発展などにも寄与するべく、「月刊WATARU ENDO」という動画コンテンツをスタートしている。そこでは監督のように戦術ボードを使いながら、プレスのかけ方などサッカーのコアな考え方についての発信を本格化させている。
そのなかでも、このような課題を口にしている。
「中に絞って(ボールを)受けた時など、どうしても、この辺(*相手のアウトサイド)から来る選手とかが見えないことも……」
あるいは、昨シーズンまで遠藤が中盤の底で取り組んでいた、攻撃時のリスク管理(相手のカウンター対策)やバランスをどう取るのかという課題もある。例えば、カウンターの精度がリーグトップレベルのウニオン・ベルリン戦でのこと。遠藤がボールを奪い、そのままカウンターに出ようと前に出たあとにボールを奪われ、逆にカウンターを食らい、失点した場面があった。そのシーンについて先日、こう話していた。
「(自分たちの)カウンターになりそうなタイミングで、僕が仕掛けたり、ラストパスを狙ったり、ボールを運ぶこと自体は悪いとは思っていないです。問題は、そこで失った後に、(シュツットガルトの)後ろのポジションがどうオーガナイズされているか。
これまでは、味方がカウンターに出て行ったときには、自分が後ろに残って、相手のカウンターを防ぎに行くような判断をしていました。今は自分が8番的(インサイドハーフ)なポジションで、前に持っていくことが増えた。そうなると、じゃあ後ろはどうするのか。チームの課題としてあります」
新ポジション挑戦の成果は代表でも証明済み
他にも視野の確保や、相手がファール覚悟で攻撃の起点となる遠藤をつぶしに来るときの対応など改善の余地はあるだろう。実際、遠藤はこうも話している。
「僕も、今はまだ、どちらかと言うとアンカー気味でプレーしたほうがやりやすいんですけど、フィットしていかなきゃというか、前目のポジションをできるようになっていかないと」
ただ、新ポジションに取り組んでいる成果は日本代表戦でも表れている。
10月、森保政権下で初めて4-3-3が採用され、3ボランチの中央を務めたオーストラリア戦でのこと。ペナルティーエリア内へのパスの成功数は最多で、3本以上エリア内へパスを出した選手のなかで最高の成功率80%を記録。守備だけではなく、攻撃でも存在感が際立っていた。