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「他馬が弾き跳ばされるほどの威圧感…」“大物”揃いの朝日杯FS、セリフォスとジオグリフの“2強”に勝てる馬はいるのか?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/12/18 11:04
デイリー杯2歳Sを勝利したセリフォス。無傷の3連勝で朝日杯FSに挑む
C.デムーロ「何でもできそう」
このセリフォスは、2歳馬とは思えないほど凄味のある走りをするだけではなく、父を上回る瞬発力も有している。前走、4コーナーで膨れたのは、中内田調教師によると、仕掛けてからの反応がよすぎたからだという。
最初の2戦は川田将雅、前走は藤岡佑介が鞍上だったが、今回はクリスチャン・デムーロが騎乗する。言わずもがなかもしれないが、日本の競馬をよく知っていることに加え、凱旋門賞を勝っている名手だ。その彼が、1週前追い切りと本追い切りで跨り、「落ち着きがあり、何でもできそうな真面目さがある」と好感触を得ている。
元々、乗り手を選ぶタイプではないが、それでも名手の手綱は心強い。確実に勝ち負けになるだろう。
勝ち時計は平凡でも、ジオグリフは評価すべき
前走の札幌2歳ステークスで、ノーステッキのまま2着を4馬身突き放したジオグリフ(牡、父ドレフォン、美浦・木村哲也厩舎)も相当な器だ。その札幌2歳ステークスでは、道中最後方に控え、3、4コーナーで外から軽くマクるようにポジションを上げた。直線でさらに脚を伸ばし、ラスト100mほどのところで、鞍上のクリストフ・ルメールが2度後ろを振り返り、最後の10完歩ほどは流すようにしてゴールした。
ちょっとモノが違う。勝ち時計も上がりタイムも平凡だが、ちぎって勝った場合は、相手関係がどうあれ、その馬の絶対的な力を評価すべきだ。捕食動物から集団で逃げて生き延びる遺伝子を持っているはずなのに、一頭だけ違うところを走って平然としていられるのだから、競走馬としても、生き物としても強いと言える。
過去2戦は芝1800mだったが、直線の長い阪神芝外回りの1600mなら、まったく問題はないだろう。
父のドレフォンは、目下のところ新種牡馬ランキングのトップを独走している。自身は、2016年のブリーダーズカップスプリントなど、ダートの短距離GIを3勝しているのだが、産駒は、カバーする距離もサーフェス(芝・ダート)も、さらに幅が広いようだ。
新種牡馬ランキング2位のシルバーステート産駒のウォーターナビレラも、先週の阪神ジュベナイルフィリーズで3着となるなど目立つ走りをしている。新たな旋風を巻き起こすか、注目したい。