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<“育成の広島”のドラフト戦略>若手の左腕が多いのに…カープがさらに“即戦力”左腕を1位と2位で指名したワケ 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2021/10/26 11:03

<“育成の広島”のドラフト戦略>若手の左腕が多いのに…カープがさらに“即戦力”左腕を1位と2位で指名したワケ<Number Web> photograph by KYODO

佐々岡監督から1位指名の挨拶を受ける黒原拓未(関学大)。色紙には目標を「新人王」と記した

 広島は現有戦力を年齢、ポジションで分け、若手の成長曲線をイメージしながら補強することで、自然な世代交代を図ってきた。その中で、チームの軸となる世代を探る。3連覇時のチームを例に出せば、タナキクマルと言われた、同学年の田中広輔、菊池涼介、丸佳浩(巨人)を中心とした世代だ。ほかにも野村祐輔、安部友裕。1つ上には会沢翼、1つ下には中田廉、一岡竜司、2つ下には大瀬良大地や九里亜蓮、今村猛がいた。ベテランと若手とともに、彼らの世代が力をつけたことでチーム力を一気に押し上げたといえる。

 今年のドラフトで大学・社会人5選手を本指名したのも、新たなチームの核となる世代に期待してのことだろう。黒原、松本は中村奨成と同学年。1つ上には坂倉、高橋、森浦がおり、2つ上には森下、宇草、そしてドラフト指名の森と中村がいる。1つ下にも今年一軍のレギュラーをつかんだ小園や林らがいる。ほかにも栗林や玉村と、年齢が近い選手が一軍で経験を積んでいることも、近い未来の中心となる世代づくりの好材料といえる。

即戦力ルーキーがもたらす競争意識

 終わったばかりのドラフト会議を採点することはできない。今年と同じようにドラフト1位指名で2度重複した16年ドラフトも、5年後の今では成功といえる。

 新人選手がチームに競争意識をもたらす効果にも期待できる。今年ドラフトで指名した大学・社会人5選手は、アクシデントさえなければ来春一軍キャンプからスタートすることになるだろう。大学・社会人の新人5選手の一軍キャンプスタートとなれば、25年ぶりに優勝を成し遂げた16年春以来となる。

 ドラフト会議終了後、佐々岡監督は言った。「若い選手が多い中、また若い選手が入ってくることによって競争意識が高まる。同じ年代の選手、同じポジションの選手は負けられないと思っているだろう」。新人選手の加入は、チームに「+11」以上の効果をもたらすはずだ。

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