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「濃いコミュニケーションをとります」遅れてきたDeNAの助っ人右腕・ロメロが日本野球にフィットした秘訣 <後半戦負けなし!>

posted2021/10/07 11:03

 
「濃いコミュニケーションをとります」遅れてきたDeNAの助っ人右腕・ロメロが日本野球にフィットした秘訣 <後半戦負けなし!><Number Web> photograph by KYODO

メジャーデビューした2018年はツインズで先発として3勝3敗、防御率4.69の成績。翌年は中継ぎで11試合に登板した

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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 厳しい戦いを強いられてきた今シーズンの横浜DeNAベイスターズではあるが、そのなかにあってとくに後半戦、誰よりも異彩を放っていたのが来日1年目の先発投手であるフェルナンド・ロメロだ。

「このチームに声をかけてもらってとても嬉しかったし、本当に感謝しているんだ。とにかく残り少ないシーズンだけど、ベイスターズのために力を尽くしたいね」

 ドミニカ共和国出身の27歳の右腕は、そう言うと柔らかい笑顔を見せた。

 2017年にMLBのプロスペクトランキング100に入り将来を嘱望さる存在だったロメロは、2018年ミネソタ・ツインズでメジャーデビューしたが、ビザの関係により2020年シーズンはプレーをすることができずにいた。湧き上がってくる焦燥感。そんな折、DeNAからオファーをもらった。未知の地での戦い。ロメロはすぐに日本行きを決断した。

「自分の力を100パーセント、発揮したいと思ったんだ」

 だがコロナ禍により来日が3月末にずれ込み春季キャンプは不参加、また1年間実戦登板から遠のいたことで、チームに合流してもなかなか本来の調子を取り戻すことができなかった。オリンピックブレイク前の前半戦は5月8日阪神戦を皮切りに5試合に先発登板したが防御率5.75と振わず関係者やファンの期待に応えることができなかった。

「たしかに前半は実戦経験も含め日本の野球に慣れておらず苦労したところはありました。例えばメジャーではホームランを狙いフルスイングしてくる選手が多いのですが、日本の打者は追い込まれるまではもちろん、カウントを悪くしても確実にコンタクトを狙ってくるので、決して油断することができません」

後半戦に結実した真摯な取り組み

 どうすれば日本の野球に適応できるのかロメロは自ら考え、また同僚やトレーナー、ピッチングコーチたちから素直に教えを乞うた。

「例えば(エドウィン・)エスコバーからは日本ではファースト・ストライクをしっかりと取ることの重要性を教えてもらいました。またトレーナーからのアドバイスでウェイト・トレーニングを導入したり、可動域を広げるためにストレッチなどに取り組んだんです。なかなか結果が出ず苦しい時期もありましたが、集中してエクササイズをすることで、フィジカルの状態は上がっていきました」

 そしてオリンピックブレイクも終わり後半戦がスタートすると、ロメロは見違えたようなピッチングを披露するようになる。前半戦では140キロ台後半だった持ち球のツーシームとストレートが常時150キロを超え、さらにキレを増したことでゴロを量産し、投球に独特のリズムが生まれた。

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フェルナンド・ロメロ

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