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「ドラ1確実か」今永昇太(DeNA)のような社会人左腕&「佐々木朗希目指せる」193cm高校生右腕も…2021年ドラフト目玉候補《投手ベスト3》 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/10/03 11:03

「ドラ1確実か」今永昇太(DeNA)のような社会人左腕&「佐々木朗希目指せる」193cm高校生右腕も…2021年ドラフト目玉候補《投手ベスト3》<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

ドラフト目玉ベスト3 投手編(2)関東一高・市川祐(183cm85kg・右投右打)

 いかにも投げやすそうに、快適そうに腕を振って、初回の立ち上がりから140キロ後半がたて続けにきまる。

 気分よく投げられるフォームに変わったようにも見える。昨秋あたりは、テークバックで右手がお尻の後ろに入るので、そこから右手が上がりきらず、腕が横振り気味になっていた。1球1球のシャウトを「熱投」と表現されたりしたが、私には、苦しくて唸っているようにすら見えていた。

 そんな重苦しさが、この夏はきれいに消えていた。

 テークバックが、以前ほどお尻側に入らず、体の左の側線あたりにスッと自然な動きでなされ、右手が存分に高さをとれて、腕を振るというよりももっと激しい動き……腕を叩いて投げている。

 だから、速球のスピードもアベレージで10キロ近くアップして、捕手の捕球音も変わっている。

「打者」としてもドラフト候補

 もっといいのが、「変化球関係」だ。

 まず、タテの腕の振りの軌道が安定して、カーブのブレーキと落差が増した。130キロ台でタテのスライダーにスプリット、カットボールを操って、速球とのコンビネーションを作っていた中にカーブが加わって、高校生には絞りきれない。来るボールを追いかけてしまって、凡打と三振の山を築かれてしまう。

 強く力を入れて投げようとし過ぎないのに、140キロ後半を揃えられるのは大きな伸びしろだし、打者の顔色を見ながら投げ進めていける人間的なセンスは、すでに高い実戦力となって市川の大きなアドバンテージになっている。

 さらに誉めると、彼のバッティングが素晴らしい。

 これまでほとんど語られていないが、本人がその気でバッティングに取り組んでいけば、「バットマン」としてもプロで活躍できる素質を十分、いや、十二分に持っている。

 トップの体勢からグリップがポンとミートポイントに下りてくる実に自然なスイングから、強豪相手の試合でも、ほとんどがライナー性のジャストミートになって外野深くへ伸びていく。踏み込んでいくタイミングの作り方と、ミートの瞬間のボールと頭の距離のとり方。「天才性」を感じる。

 今年の東京の高校生ではNo.1のバットマンに推せるぐらいの実力者だ。昨秋あたり、「投」がはっきりしなかった頃は、「打者」としてドラフト候補に挙げていた。

 おそらく「投手」としてプロに挑戦するのだろうが、素晴らしすぎるほどのバッティングを兼備した「隠れ二刀流」である。

投手編(3)西日本工業大・隅田知一郎(177cm76kg・左投左打)

 昨年のドラフト組からは、今季、何人もの「即戦力投手」がペナントレースで活躍している。

 先発ローテでは日本ハム・伊藤大海(苫小牧駒澤大)、楽天・早川隆久(早稲田大)、阪神・伊藤将司(JR東日本)、リリーフ役として広島・栗林良吏(トヨタ自動車)、森浦大輔(天理大)、大道温貴(八戸学院大)に、夏場からは、育成ドラフトから西武に進んだ水上由伸(四国学院大)が「失点しない中継ぎ」として奮投が続く。

 ならば、今季のドラフトの「即戦力投手」は……というと、昨年よりは心もとないようだが、どうだろう。

 私は、三菱自動車倉敷・廣畑敦也(帝京大)西日本工業大・隅田知一郎(177cm76kg・左投左打・波佐見高)の2人だけでは……と見ている。特に今年の大学投手たちは、「これから」を期待したくなるようなタイプが支配的だ。

【次ページ】 “即戦力系左腕”がいないため「重複指名」もあり得る

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