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「ドラ1確実か」今永昇太(DeNA)のような社会人左腕&「佐々木朗希目指せる」193cm高校生右腕も…2021年ドラフト目玉候補《投手ベスト3》
posted2021/10/03 11:03
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
10月11日のドラフト会議まで、あと約1週間。
例年より2週間ほど早い開催に加えて、コロナで大学野球の秋季リーグ戦のスタートが軒並み遅れる事態に、プロ野球のスカウティングの現場も、少なからず動揺と混乱をきたしながらも、指名候補の絞り込みは最終段階を迎える。
このタイミングで、プロ志望のドラフト候補の中から、ポジション別にそれぞれ3人の逸材たちを取り上げて、その可能性について掘り下げていく。
投手編(1)天理高・達孝太(193cm85kg・右投右打)
毎年のことだが、逸材居並ぶ「投手」の中から3人を選ぶのは、へんな汗が背中を流れる。そこに「好み」という要素を織り込まないと、とてもじゃないが絞り込めない。
今、持っている「総合力」ということなら、市立和歌山高・小園健太や明桜高・風間球打なのかもしれないが、高校生なら、5年先が想像できないような「未完の大器」でもいいんじゃないか。
天理高・達孝太投手(193cm85kg・右投右打)の見えなさ加減に、なんとも魅力を感じる。この春のセンバツで3戦2完投459球投げて、大丈夫かな……と思ったら、左わき腹に右ヒジ。故障をひきずって迎えた最後の夏、どうかな……と思ったら、準決勝の高田商戦のリリーフ4イニングの投球で敗れて、高校野球生活の幕を閉じた。
そんな不完全燃焼に終わっておきながら、奈良県予選敗退の直後、
「いずれは、メジャーリーグで活躍して、サイ・ヤング賞を獲りたい!」
と、言い放ったから驚いた。
目標が具体的だから、たいしたもんだ。単に、メジャーに行きたい……なんて、ボンヤリしたこと口走ったのではなく、「サイ・ヤング賞」とまで言いきったのだから。もしかしたら自分の中に、メジャー最高峰に到達できる手応えを確かにつかんでいるのかもしれない。
強豪・天理高のエースに台頭し、ドラフト1位候補にまで挙げられているほどの「逸材」だ。一定の確信があればこその「宣言」と見る。
「140ちょっとしか球速が出ない」とケチつける人もいるが…
193cm……普通の体格の人が竹馬に乗ったぐらいの目の位置だろう。
それだけの超・長身と、それに伴う長さを有する四肢を、あれだけリズミカルにしなやかに躍動させて、右腕を豪快に投げ下ろす…そのボディバランスと柔軟性が、まず素晴らしい。