加えて、超・長身、長いリーチのオーバーハンドなのに、高く抜けるボールがそれほどないのがすごい。大型選手にありがちな不器用さを感じる瞬間がないのも、間違いなく「才能」だ。

　マウンドの高さ、身長、腕の長さをたしてみると、およそ2m50～3m近い高さから投げ下ろして、右打者の外角低目へのラインも作れるし、反対の左打者の外角低目へも集められるのもすごい。その「角度」に目をごまかされ、打者は低めのボールの高さを間違えて凡退を繰り返す。

　この低めの制御能力は、「150キロ」に等しいほど、打者を悩ませる。

「140ちょっとしか、スピード出ない」とケチをつける人もいるが、まだ体が出来ていない今だから、140キロ後半とか150キロとか、そうそう出るわけがない。

　その代わり、プロの食事とトレーニングで、今のボディバランスと柔軟性を保ちながら、体重が「身長－100」の95キロぐらいになった時、今の「佐々木朗希」ぐらいの存在になっているのではないか。

　5年かかるのか、いや、センスの鋭い投手だから、意外と3年ぐらいで出てくるかも……今の人材に余裕のある球団なんて、そうはないだろうが、そもそも「1位」という枠は、将来のエースや4番打者を獲得するための枠であろう。「5年かかる……」と言ったが、5年という時間をかけても、それだけの値打ちがあるのが、この投手だろう。

　ならば、「1位・天理高・達孝太」でおつりが来るほどだ。

投手編（2）関東一高・市川祐（183cm85kg・右投右打）

　若い選手たちの「ちょっと先」なんて、本当にわからない。大学生なら昨日と今日でもう違うし、高校生なら午前と午後で、もう変わっている。

　昨秋の新チーム段階からの変わり身ということなら、関東一高・市川祐投手（183cm85kg・右投右打）を置いてないだろう。

　1年夏から強豪のマウンドをつとめていて、ファンも関係者も「市川祐」という名前は知っているわりに、これといったインパクトは弱かったはずだ。

　それが、この春を経て、最後の夏の変わり身にはひっくり返った。

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