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ヤンチャだったオーソクレース(牡3)がマリアライトから受け継いだ“勝負強さ”〈セントライト記念→GI戦線〉へのカギは「お母さんみたいな成長力」
posted2021/09/17 17:03
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Sankei Shinbun
今週末のJRAは3日間開催。その末尾を飾る20日(月曜、祝日)には中山競馬場でセントライト記念(GII)が行われる。菊花賞(GI)のトライアルでもあるこのレースにオーソクレース(牡3歳)を送り込む美浦・久保田貴士調教師は言う。
「お母さんもうちで走っていた思い入れのある血統です」
オーソクレースの母はマリアライト。ディープインパクト産駒で母はエルコンドルパサー産駒のクリソプレーズ。半兄のクリソライト、半弟のクリソベリルはいずれもダートの活躍馬だが、2014年から2016年まで現役として走ったマリアライトは芝のみで使われた。
初GI制覇をもたらしたマリアライト
「デビュー当初は多少口向きが難しく、背腰の弱い面もあったため少し強い調教をすると反動が出ました」
そのため一戦走るたびにダメージの回復に時間を要した。
「厩舎スタッフだけでなく牧場とも連携してケアしながら、成長して力をつけてくれるのをじっくり待ちました」
本格化したのはデビューから1年以上が過ぎた15年の事だった。一時は412キロまで体を減らし勝ちあぐねる競馬が続いていたが、15年3月の潮来特別で初めて430キロの体で走ると、2着を3馬身突き放して快勝。続いて出走した準オープンの緑風Sも連勝して一気にオープン入り。更に続いて出走したマーメイドS(GIII)は初めての重賞出走にもかかわらず1番人気の支持を受けた。
「結果は勝ち馬(シャトーブランシュ)の鬼脚に差されてしまいましたけど、見せ場充分の競馬で2着。重賞でも通用するところを証明してくれました」
その後、オールカマー5着を挟んで出走したのがエリザベス女王杯(GI)だった。同い年のオークス馬ヌーヴォレコルトや前年のエリザベス女王杯の覇者ラキシスらがいてマリアライトは6番人気の支持に甘んじたものの、見事な走りを見せた。
「うまくいけばチャンスはあるかと思っていたけど、なんとかしのいでくれました」
久保田調教師がレース直後にそう語ったように、マリアライトはヌーヴォレコルトらの猛追を抑え、自身の初重賞制覇を見事にGIで飾ってみせた。これが久保田調教師にとっても嬉しいJRA・GI初制覇となった。
「ノリちゃんと『将来はジョッキーになる』と」
久保田調教師が生まれたのは1967年9月17日だから、ちょうど54歳になったばかり。父は久保田敏夫元調教師。当時、厩舎のあった東京競馬場で育った。
「同級生にノリちゃん(横山典弘騎手)がいて、2人でよく『将来はジョッキーになる』とか話していました」