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ヤンチャだったオーソクレース(牡3)がマリアライトから受け継いだ“勝負強さ”〈セントライト記念→GI戦線〉へのカギは「お母さんみたいな成長力」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySankei Shinbun
posted2021/09/17 17:03
札幌競馬場での新馬戦を完勝したオーソクレース。鞍上はクリストフ・ルメール
オーソクレースの最初の印象は「やんちゃ」
「性別も毛色も違うし、骨格があるので小柄だったお母さんとはあまり似ていないかもしれません」
マリアライトの初仔であるオーソクレースについてはそう言うと、更に続けた。
「やんちゃで、最初に入厩した頃は『凄い馬!!』という感じはとくにありませんでした。札幌競馬場に入厩した時には自分も何度も乗ったけど、マイペースで、淡々と走る感じ。背中の感触もフットワークも特別に良い感じではなかったです。本馬場での最終追い切りにはルメールさんに乗ってもらったけど、その時もそこまで良い動きをしたわけではありませんでした」
それだけにデビュー戦は半信半疑だったと言う。ところが……。
「競馬へ行くと素晴らしいパフォーマンスで新馬、2戦目と連勝をしてくれました」
更にGIのホープフルSでも2着に好走。今春のクラシックが期待されたが、目前でトモを骨折し、休養。今回はホープフルS以来の競馬となる。
「最終追い切りは半馬身ほど遅れました。ただ、元々調教は動くタイプではないし、こんなものでしょう。ブランクは長いけど能力の高い馬なので期待しています」
また、今後も含め距離に関しては次のような見解を述べる。
「お母さんはエリザベス女王杯と宝塚記念を勝っているし、父のエピファネイアも菊花賞馬ですからね。長くなる分には心配していません」
「お母さんみたいな成長力があれば良い」
では、望むところとしては何が考えられるか?と問うと、答えた。
「お母さんみたいな成長力があれば良いですね」
まだキャリア3戦のみの3歳馬。久保田調教師にとって初めてのジャパンC(GI)出走馬が、厩舎ゆかりの血統のこの馬になれば、彼の喜びも倍増する事だろう。そう聞くと、苦笑して口を開いた。
「憧れていた頃のジャパンCと比べて今は外国の強い馬があまり来なくなってしまい、だいぶ華やかさが無くなりましたけどね……」
とはいえ、GI戦線に送り込みたい気持ちに変わりはないだろう。まずは今回の始動戦で少し遅れたバースデープレゼントを指揮官に届けてくれるのか、注目したい。