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炎上する車の中で友人3人を亡くして…主将・池透暢が“車いすラグビー”に夢中になった理由 「次は金メダル」、叶えたいもう1つの夢とは? 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byNaoya Sanuki

posted2021/08/31 11:00

炎上する車の中で友人3人を亡くして…主将・池透暢が“車いすラグビー”に夢中になった理由 「次は金メダル」、叶えたいもう1つの夢とは?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

キャプテンとして車いすラグビー日本代表を引っ張った池透暢。目標としていた金メダルには届かなかったが、すでに次の夢へと歩みを進めていた

 日本代表で共に戦う選手の多くが「初めて見た瞬間から心惹かれた」と声を揃えるのに対し、池の場合は少し違う。むしろ「最初は全然楽しくなかった」と笑う。

「空いたスペースにパスを出してゴールを目指すバスケットボールと異なって、車いすラグビーはどこからでもタックルに来る。後ろからのタックルは反則なんですが、そのギリギリを攻めてくるし、ローポインターたちはディフェンスも時に2人がかりで挟んでくる。それぞれ乗る車いすが違うとはいえ、最初は自分より障がいの重い選手にバンパーで止められて身動きすら取れないのも悔しくて。

 そもそもタックルで相手を倒しに行くのも野蛮だし、相手の弱いところをどんどん突く、ずるさもないといけない。自分で言うのもおかしいですが、僕いい人なので(笑)楽しいと思うようになるまで1年近くかかりました」

 ずるくなれ、もっとずるさがないとダメだ。最初はそう言われること自体が「フェアじゃない」と思っていた。

障がいの度合い、性別を超えて勝利を目指す

 だが、障がいの度合いや性別も超えて、自らの壁を破ろうとする選手たちの姿を見て考え方が一変した。

 障がいの度合いによって0.5から3.5までの7段階に分けられるが、同じクラスだろうと、まったく同じ障がいの選手は誰一人いない。さらに車いすラグビーは男女混合競技である。パラスポーツの本質とも言うべき魅力に深く触れるうち、気づけば、車いすラグビーにのめり込んでいた。

「相手の弱みを探すことはイコール、仲間の弱さや苦手なところをカバーすることにもつながる。どうすればやりやすいか、仲間を活かせるか、と考え方がシフトしていく中に面白さがあると見出したんです。だから、今の自分は過去の自分よりもたくさんの景色を見ることができるようになりました」

 仲間を活かす。それは主将としてのみならず、コート上での一プレーヤーとして担う、池の役割でもある。

【次ページ】 池が「座面」を高くする理由

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